この狂った世界でいつか君に花束を

始まり

高校二年の春、俺は恋をした。その日は春だというのに花粉もあんまり飛ばずご機嫌な天気だった。

俺の視線の先にいるその少女は神秘的な美しさだった。この世の色を全て抜いたような白い肌、白い髪そして光もない白い瞳。触れてしまえばすぐ崩れてしまいそうな儚さと美しさに俺は一目惚れをしてしまった。

それを自覚するよりも先に俺は

「君の名前を教えてくれないか？」

と、はじめましてで聞かないようなことを聞いてしまった。だが君は一瞬困ったあとに答えてくれた。

「私の名前は…」