第二十三話
4月6日
今日から俺以外の1年生はみんな学習合宿に行っている。
俺はというと生徒会メンバーによる、戦闘訓練である。
午前8時20分。
「おはようございます」
生徒会室の扉を開けて気怠そうに挨拶すると薊先輩とダリア先輩が談笑していた。
「おっ、来たなー。トラブルメーカー!桜ちゃんのお父さんに一発かましたらしいじゃーん!何したのさー!」
薊がニヤニヤと生徒会室に入ってきた司に駆け寄りからかう。
「いやいや、そんな話すようなことしてないですし。てか、思い出すだけでも腹立ってきました」
「桜ちゃんのお父さんそれはもうカンカンだったらしいよー。多分司君が家に行った後かな?陰陽寮の定期会議があったんだけど。私のお父さん曰くずっと不機嫌だったらしいよー」
「あ、それアタシのパパも言ってた!卯月家は大体不機嫌らしいけど、いつにも増して態度悪かったんだってさ」
ダリアも笑いながら話す。
それからも卯月家の噂話が出るわ出るわ。
薊先輩とダリア先輩の話を纏めるとこうだ。
桜の父親は陰陽寮の中でもやはり少し浮いているらしい。
別に他の家が卯月家を見下しているとか、そういうことは一切ない。
だが、卯月家当主の卯月勇は陰陽寮の中で超能力者を唯一保有していない家系だということをかなり気にしているらしい。
恐らくそれは卯月の人間全員に伝染している。
桜が生徒会に行くのを躊躇っていた理由が理解できた気がする。
他の家には見下されていると何度も何度も親に言われ続けある種の洗脳のような状態になっていたのだろう。
「皆さんは桜のことどう思ってるんですか?」
「んー?私は昔からずーっと本当の妹みたく可愛がってきてるつもりなんだけどねー。あんまり伝わってないかもしれないねー。陰陽寮で桜のこと嫌いな人居ないんじゃない?むしろみんな好意的だと思うけどなー」
「アタシは桜のこと尊敬してるかな。だってあの子いつ見てもちゃんとお嬢様してるんだよ?すごくない?アタシには真似できないや。すぐだらけちゃうからさ」
ニャハハと笑いながらダリアは話す。
「そうなんすね。なんか安心しました」
「うんうん、なら司君が最愛の彼女のことをより知れたところで、そろそろ司君強化週間はじめようかー」
「いや、だから」
「その必死さ逆に怪しいってー。ささ、ここ座って。まずは超能力者について教えていくよー」
「どう答えても、こうなるやつじゃないっすか」
薊に言われるがまま、薊の隣に座る。
超能力者。
それは人智を超えた力に目覚めた者のことを差す。
超能力者には産まれた瞬間から目覚めている者と後天的に目覚める者がいる。
また、父か母どちらかが超能力者の子供は超能力者になりやすいようで、両親が超能力者だったならば、ほぼ確実に産まれた子供が超能力者になるそうだ。
超能力者の能力については遺伝することはほぼ無く。
例えば親が炎操作の超能力者だったとしても子供は砂操作であったり、精神感応になったりする。
また、超能力者としての能力を強化するためには心を鍛えることが重要だと考えられている。
その人の感情の昂りで能力の限界を超えて新しい能力に開花したことがあったそうだが、これはまだ研究中である。
「とまぁ、知っといた方がいいのはこの辺かなー?」
薊は銀縁に眼鏡を掛けて、チョークと指示棒を持って板書をしたところを指している。
「大体はわかったー?」
薊が司の方を振り向くとノートに必死に何かを書いている。
「おー!司君熱心だねー!」
薊がノートを覗くと、薊が必死に説明している姿をただデッサンしているだけだった。
「司君!絵描くのうまーい!けど、私頑張って話してたのに聞いてなかったってことー!?」
薊は頬を膨らます。
「いえ、聞いてましたよ」
司がノートを1ページ捲ると、薊が説明していたものをが丁寧にまとめられていた。
司の纏めたノートを見て、少し不機嫌になる。
「なんか私の説明よりわかりやすいの悔しいー!」
「どっちに転んでも結局こうなるやつなんすね・・・。理不尽な・・・」
薊の話を全く聞いていなかったとしても不機嫌になっていたことは安易に想像がつく。
超能力者についての講義で午前中が終わり、食事の時間となった。
薊とダリアと食事に出ようと思ったが、生徒会室に設置されている電話が鳴り響く。
ダリアが電話に出ようとするが、薊が制止して、薊が電話に出る。
「はい。はい。うわー、出ちゃったかー。なら私が行きます。はい。場所は?また、ちょっと遠いところに。はい。すぐ向かいますー」
電話を切った薊が司とダリアの元に駆け寄ってくる。
「残念なお知らせー。一緒に食事しようと思ったけど、出動命令でちゃったから行かないといけないみたいー。んじゃダリアちゃん後のことは任せたよー!誰かに生徒会室に戻ってくるように伝えとくから留守番はいらないから食事楽しんでおいでー」
薊は走って、どこかに向かっていく。
「出動って?」
司がダリアに尋ねる。
「司っちは初めてだっけ?どっかで妖が出たから退治に向かったんだよ。一応当番制で誰かが絶対に生徒会室で留守番をすることになってるんだけどね。きっと梅たんが走ってくるよ。ほら!噂をすれば!」
ダリアが指差す方へ視線を向けると、綺麗な漆黒の髪のポニーテールを揺らしながら如月梅が走って生徒会室に戻ってきていた。
「梅たーん!おはっ!」
ダリアが手を振ると、梅はダリアの前で止まり、肩で息をして呼吸を整える。
「おは、はぁ、では無くて、はぁ、おはよう、はぁ、ございます、はぁはぁ、です。はぁはぁ」
息切れしながらダリアの言葉遣いを訂正する。
「あっ、でももうお昼だから、"こん"か!」
梅は何か言いたそうにダリアを見るが、息切れがひどく訂正する元気もないようだ。
「お疲れ様です。如月先輩。落ち着くまで俺達が生徒会室で留守番しときましょうか?」
「だ、大丈夫、はぁ、です。先に、はぁ、ご飯、はぁ、行ってきてきてください」
梅は右手の掌を前に突き出し、司達に食堂に行くように指示する。
「オッケー!梅たんもこう言ってるし司君、食堂行こう!早く行かないと混んじゃうから!」
「了解です」
梅の息切れが一向に終わらないのを心配しながら、司はダリアに着いていく。
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