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俺の仕事は異世界から現代社会に帰ってきた勇者を殺すことだ  作者: 宮社
第一章 ファンタズマ / ファンタジア
36/57

第三十五話 勇者リワーク!⑦【ケンケン】

 

 ――あと5cmで左陶の胸にナイフが届く。その時だった。


 何者かにナイフの持ち手を強い力で掴まれた。


 捕まれてない反対側の手で素早く銃を取り出して発砲したが、その何者かに躱され、蹴り上げられてしまい、体ごと吹っ飛んだ。



「――チッ、折角傷が癒えたのにまた増えた。クソ組織が」


 蹴り飛ばされて距離を確保できたので、何者かを確認する。あれは剣干賢人けんぼしけんとだ。


 俺は剣干に蹴られた瞬間、蹴り足をナイフで二回切りつけていた。



「……お前がオギツキアキの父親か?」


 なんだ、俺の興味があるのか?


 こちらとしては、時間稼ぎがしたかったのでちょうどいい。



「……そうだが初めて見る顔だな。お前は誰だ」


 知っているけど、時間稼ぎのために自己紹介から始めてもらおう。


『富子、しまこ今どこだ』


『隊長のすぐ近くに居ます』


『今すぐMJSを起動してくれ。起動したら装置から離れろ』


『了解』


 タイミングよく俺の近くまで来てくれていたようだMJSが剣干に対して有効かわからないが使うなら今だろう。



「俺は剣干賢人だ」


「……ケンケン?」


 初めて名前を聞いたとこからずっと思っていた。


 コイツのあだ名は絶対ケンケンだろうなって。


「……馴れ馴れしく呼ぶな」


 おっといけない。情報を引き出す方が先だ。


 ……と言ってもコイツから吸い出す情報などあるか?


 例えば「おとなしく投降しろ」と言ってもこちらは絶対殺すので応じないだろう。


 アジトを教えろとかどんな魔法を使うのだ?なんて聞いても自分に不利益なことは話さないだろうし……携帯番号とか聞いても教えてくれないだろうな。



『セイちゃん、こいつになんか聞くことある?』


 俺は小声でセイカに相談した。


『そうね。時間を稼ぎたいのなら、剣干の怪我の具合とか聞いてみたら?』


 それだ。


「おう、お前娘のこと知ってるんだな?手ぇ出したらぶっ殺すからな!覚えとけよクソ野郎!」


「……やっぱりお前たちは全く話の通じないイカれた組織だ。話す機会を設けてみたが無駄だったな」


 剣干は少しイラついた感じで、怒りを含みながらも淡々と感想を口にしている。


『……全然言いたいこと言ってるじゃない。私のアドバイスは何だったのよ…もう』


『ごめん、本音が出てしまった。セイちゃん……もういいんじゃない?』


『わかっているわ』


 ドローンが剣干の上空に寄り、爆弾を投下した。


 剣干が気付いたようで手を上げるとドローンは炎上、爆発した。



『MJSは音葉から発生する魔法しか防げないし、恐らく魔術を使ったのだろうけど帰還者によっては無詠唱で使えるようだし厄介ね。ただ剣干の魔術のカラクリはわかったわ、空を見て』


 剣干に警戒しながら空を見上げると、歪んで見える。


 さしずめ空に浮かんだレンズのようだ。


『まんま収れん現象だったのね。ただ規模がとんでもないわね』


 収れん現象とは、虫眼鏡で太陽光を集めて紙を焦がす理科の実験のそれだ。


『アキ聞いてるか?空を曇らせてくれ』


 アキがそんなことできるかどうかわからないけど、超適当に言った。


 しかしアキからの返答はなかったが、すぐに晴れ間が無くなり、曇り空になった。アキえもんしゅごい。


 これで光の魔術(虫眼鏡光線)は阻止できたので、肉弾戦に持ち込めれば、こちらにも勝機が見えてくる。


『J、見てるか』


『ああ、見ている。アディはどうするつもりなんだ?』


『恐らくこれから接近戦になるだろう。状況に応じて援護射撃を頼む』


『了解!死ぬなよ』

 



「……もういいか。お前はもう死ね」


 剣干はどこに仕舞ってあったのか、両刃の長い剣を取り出し、こちらに向かって上段に構えをとった。


 俺も剣干に向かい合い、左手を前手にしてナイフを持ち構えた。


 俺は足の幅のスタンスを大きくとってカウンター狙い、待ちの体勢だ。


 剣干は剣で向かってくるとなればこちらが銃を使っても、はじき返して押し通る自信があるという事だ。


 まあブラフの可能性もあるが、ここは自分が負傷しないように対応しようと考えての事だ。


 さて、どう来る?剣干の攻撃次第で力量が分かるはずだ。



 袈裟切りならば、左右どちらかにステップして避けた後、足で振り下ろした剣を押さえる。


 上段から真っすぐ振り下ろしてきたなら、拳か掌底で剣の軌道を変え、カウンターを打つ。


 スタンスを広くとっているので、前足を狙って来たら避けて、カウンターの頭突きだ。




《ジャンカルロ》*:,.:.,.*:,.:.,.*:,.:.,.。*:,.:.,.。*:,.:.,.。*:,.。



 アディに援護をと通信が入ったので、ライフルのスコープで二人を見ながら援護できるタイミングを見ていた。


 緊張で、頬を伝う汗が気持ち悪い。


 汗を拭ってしまいたいが、目を離せば一瞬で状況が変化するはずだ。



 剣干が剣をゆっくりと上段に振りかざすと、真っすぐアディに向かって切りかかっていった。



 ――速い!目でとらえない位の速さだ。


 

 待ちの体勢のアディは一歩踏み込み、切り捨てようとする剣の腹を奥手からフックの軌道で掌底を打ち抜いた。



 ありえない!すごすぎる!


 いつも俺がスパーリングで殴り掛かる速度とは雲泥の差なのに、相手の速度に合わせている。


 真っすぐアディに向かってきた剣の軌道が変わった。



 相手は、想像もつかないほどの力を持っている帰還者だ。


 俺は魔法の事でわかるのは「楽に強くなる」って事だろう?


 だけど、アディのこの一撃は50年の鍛錬の賜物だ。


 強さの質が違う。



 フックを打った勢いでアディは回転して左手に持ったナイフを剣干の首に突き刺した。



 今度こそやったか!?

 

 俺はアディの勝利を確信してスコープから目を離してしまった。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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