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俺の仕事は異世界から現代社会に帰ってきた勇者を殺すことだ  作者: 宮社
第一章 ファンタズマ / ファンタジア
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第三十四話 勇者リワーク!⑥【特攻】

 


「すぅー……」


 俺は一息吸って海老根に向け、マシンガンを撃ちながら特攻した。


 策なんてあるか。アキの安全が確保されるまでやり続けるだけだ。海老根がこっちに来たらブン殴ってやる。


 たが海老根は俺の陽動には引っかからなかった。我々とは逆の方向……アキのいる方向に駆け出しだ。


 俺は命拾いしたかもしれないが、位置情報を確認するとこっちに向かっているアキと鉢合ってしまう


『アキ!海老根がそっちに向かったぞ!俺も今海老根を追いかけている!』


 地中に居る左陶さとうはどこにいるかわからない。



「はーい。来たよ」



 黒い戦闘用スーツを着たアキが、走っている俺の真横に現れた。


「うぉ!?海老根とすれ違わなかったのか?」


 海老根に追いつかないとわかっていても全力疾走しているのに、アキは俺の横で軽いステップで俺と並走していた。


「すれ違ったよ。多分この広場を抜けたところだね。すぐ追いつくしどうする?捕まえる?」


「……できるの?」


「できるよ~。おとーさんも一緒に来る?」


「うん」


「じゃ、いこっか!」


 俺は荷物のようにアキの肩から担がれ……景色が目で追えないほどの、ものすごい加速が始まった。


 とてつもない速度の中、アキは山鹿のように軽やかなステップで駆け抜けていく。



「おおおおおおぉぉぉ!?」


 俺が絶叫する声にアキが何か気づいたらしく、音葉を唱えた。


 すると、高速移動で発生する空気抵抗がなくなった。


「おお、急に楽になった」


「……しまった。おんぶにしておけば、おとーさんにギュってしてもらえたのに」


 アキは何かぼやいていたが、聞こえないふりをしておこう。



「おいついた」

「ぐええええ!」



 今度は抱えられたまま突然急停止されたので体の中身が口から全部でそうになった。


 ようやく視界が開けたので、辺りを確認し海老根を見つけた。どうやら海老根を追い抜かしていたようだ。すごいぞアキ。



「いたぞ!この野郎!」


 アキに抱えられた姿勢のまま、マシンガンをぶっ放した。


 弾丸は海老根をとらえているが、また海老根の直前で弾丸が溶けていく。


 海老根はこちらを無視して、また走り抜けてしまった。



「アキ、あれ何とかならない?」


「なるよ」


「え?なるの?」


「そっちから聞いておいて、なんなのよ。そういやあたしおとーさんにしてほしい事があるのよね~」


「いいぞ。エロいこと以外なら」


「よし、商談成立だね!」


「じゃあ行ってくるね!」



 あいつ、この交換条件の為に立ち回ってたわけじゃないよな……?


 ともあれ俺は置いていかれてしまった。



『セイカ、規制範囲外まできてしまった。周辺の規制範囲を広げてほしい。あとJとしまこはこちらまでMJSを――』


 視界の範囲でアスファルトが盛り上がった事を確認すると、条件反射で反対方向に飛び避けた。


 地面から岩のトゲがこちらに向かって襲ってきた。


『左陶だ。恐らく俺を狙ってきたかもしれない』



「――セイちゃん」


 通信をセイカの直通チャンネルに切り替える。


『お父さん、逃げてと言いたいところだけど』


 次から次と岩のトゲが俺めがけて襲ってくるが、アスファルトを突き破らないと出てこれないようで、タイムラグがあり、案外避けることができる。


「もう左陶との実戦は何回目だっけ?」


『そうね、発現した時を含めると今回で五回目よ』


「ここにいるのが俺だけなら逃げるけど……セイちゃん」


『そうね。左陶の行動パターンはほぼ掌握できているわ。所詮人間の思考だもの簡単よ』


「じゃあ負けないよな?」


『ええ、勝てないかもしれないけど負けることはないわね』


「セイちゃん、一緒に戦ってくれるか?」


『もちろんよ。私の声をちゃんと聞いて。そして私を信じて』


「ああ、頼りにしている」



 俺とセイカで左陶との戦闘が始まった。




『7時方向2メートル』


『9時方向1.5メートル』


『しゃがんで9時方向に前転』


 すごいぞセイちゃん、目で確認しなくても岩のトゲを全部避けられている。


 左陶の行動パターンを解析、次に来るであろう攻撃をAIで予測し、セイカの声でもナビゲーションしてくれているのだがデバイスの視界モニターに何処から攻撃が来るのか点滅シグナルで教えてくれているので非常に避けやすい。


 もうかれこれ2、3分は避けゲーを続けている。



 今は周りのアスファルトがほとんどめくれてしまったので、タイムラグが無くなって、どこからトゲが襲ってくるのかわからなくなったので俺一人では避けれなくなっていただろう。


 俺の体力が続く限りは大丈夫だ。このまま俺はセイカを信じているだけでいい。


『左陶が乗車していると思われる車両を確認。爆弾投下』


 ドローンから爆弾を投下したのだろう。割と近い場所で爆発音が聞こえた。


 岩のトゲ攻撃が止んだ。これはチャンスだ。


『お父さん!2時方向に左陶がいるわ!走って!』


「了解!」


『恐らくだけど、左陶は前回、アキとの戦闘で負傷して、地上では高速で移動ができないわ。ただ地中に潜られたらどうしようもない。さっきもアキが追い詰めていたけど地中移動で逃げていたの』



『見えた!』


 左陶が爆発で車から投げ出されたのか、自力で車から出たのかはわからないが、歩道に倒れ込んでいた。


 意識はあるのか、または死んだふりをしているのか、迂闊には近づけない。


 確認の為、俺は距離をとってハンドガンで2、3発、左陶に向けて発砲した。


 するとアスファルトがめくり上がり弾丸は左陶をとらえることができなかった。


「クソ、やっぱり死んだふりか」


『9時方向!』


 突然セイカの声と同時にデバイスの視界に信号が出た。


「おっと」


『左陶のバイタルを確認。まだ生きてるから注意して』


「セイちゃんまたナビ頼む。今から左陶の所まで一気に距離を詰める」


 太もも辺りに装備したホルダーからナイフを取り出し、左陶がいる約50m先まで走り出した。


『音声ではなくデバイスのシグナルに集中して進んで』


「わかった」


 遠距離から攻撃が飛んでくるとは言え相手は人間だ。


 俺はフェイントやトリッキーが動きを加えて岩のトゲを避けた。


 途中からすごい速度の石礫いしつぶてが飛んできて肝を冷やしたが、問題なく左陶がいる所に辿り着いた。


 左陶の姿を確認すると、迷わずナイフをつく動作に入った。



 あと5cmで左陶の胸にナイフを刺すことができる――



最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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