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俺の仕事は異世界から現代社会に帰ってきた勇者を殺すことだ  作者: 宮社
第一章 ファンタズマ / ファンタジア
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第三十話 勇者リワーク!③【海老根六】

 

 今回の作戦概要はこうだ。


 【前提条件として、こちら側が認識している敵側の人物が現れた場合、エージェントによる人払いが行われる】

  ・今回は左陶鞠子がそれに該当するため、すでに気づかれないように自然な形で人の流れを変え、イベント会場に人が流れないようエージェントが誘導している。


 【こんな子供だましのイベントに来ると思われないが、万が一帰還者が現れた場合はこれの確保または殲滅】


 【アキについて】

  ・基本的には旧SAVメンバー主体での戦闘になるが、帰還者との戦闘には積極的に参加してもらう事になっている。



『ロジャー、現在の目標の確認だ』


『現在スコープには左陶鞠子が映っているぜ?』


 ロジャーは狙撃ポイントから左陶をターゲットとしてもらう。


『対象までの距離は?』


『600だな』


『OK、そのまま指示があるまで待て』


『了解』


 俺の方は指示を出してはいるが、イベント会場に不自然に視線を送らないように気を付け、基本的には仰向けになり日向ぼっこをしてデバイスで状況を確認している。


 隣にいるアキは、自分の太ももを俺の後頭部に無理やり潜り込ませて、膝枕の状況を作って嬉しそうにしていた。


 多分通信も聞いていないかもしれない。


 SAVの連中から見て、仕事中に女に膝枕させて指示出ししている図に見えているかもしれないが、真面目になっているんだぞ、これでも。



『しかし、左陶はなぜ誰も見ていない所で頭を抱えているんだ?何かの病気か?』


 状況の変化がない事から、ロジャーが左陶の奇行について聞いてくる。


 シンプルに病んでいるだけかもしれないが……。



『さあな、今こうしてこんなイベントの受付なんかやらされているところを見ると、亡命先でなにかトラブルでもあったんじゃないか?――っておい!?』



 左陶の目の前に絵に描いたような不審者が現れた。



『ぎゃはははは!なんスかアイツ?』


 清潔感の無い筋肉質の男が現れた。


 特筆すべき点は、頭からパンストを被っており顔も表情もわからない。というか一昔前の銀行強盗のようだ。


 パンスト男に気が付いた左陶は、絶叫して後ずさっていた。


 そりゃ予定調和じゃなければ誰でもそうなるか。


 何か会話が始まったが、音声まで聞き取ることができない。


『ライドルト、左陶に近づいて会話を聞き取ってくれ』


『はい了解です』



【――信じてくれ、こんな格好をしているが僕はこの相談会の参加希望者の元勇者だ】


【そんな恰好をした人を信じることができますか!?】


 パンスト男は指先からライターほどの火を出した。



『あいつ火ぃ出してますけど、帰還者じゃないんスか?本当にきたんスかね』


『まだわからないわ。確信が持てるまで見ていなさい』



【……そんなのマジックでもできますよね】


【ではこれでどうだ。ふんっ】


 今度は鼻からパンスト越しに火を吹き、それと同時にパンストに火が燃え移った。


【うぎゃああああああ熱い!熱い!】



 被っていたパンストが燃える。左陶はあっけにとられててヤツを助けることもせず見ているだけだった。


『ぎゃはははは!あいつアホなんスかね?』


『しまこうるさい。黙って見てろ』


 しまこのせいで大事な部分を見逃しそうになったが、燃えたパンストから隠していた顔が見える。


 若い男の顔だ。大体二十歳前後だろうか。



『セイカ、帰還者と思わしき対象の顔が出た。データにあるか?』


 俺は心当たりがない。セイカに正しい情報を聞き出す。


『あれは海老根六えびね ろくよ。一年ちょっと前に発現して我々の攻撃を掻い潜り逃走、何度か国内で発見したけど捕まえることができなかったわ。こんなイベントで釣れるなんて……』


 さんざん探したけどこんなアホらしいイベントで顔を出したことにセイカはショックを受けていた。



『そうか。ロジャー視界は?』


『クリアだ』


『一発あのパンスト野郎に向けて撃て』


『了解』


 ロジャーからの返事後、すぐにサイレンサーを装着した、ごくわずかの発砲音が聞こえた。



【やろうと思えば全身から火を出すことも可能だが……】


『すごいな、しゃべりながら弾を掴んだな』


『発砲音より着弾する方が先のはずなのに』


『いやアディ、うちにも二人、避けたり当たっても効かないやつがいるだろう』


 うちの部隊は、銃火器が防がれることで相手の力量を測るきらいがある。


 海老根は完全にライフル弾を見切っていて、弾を手で掴んだ。


 ちなみに弾が当たっても効かないのはアキで、避けるのは俺の事だろう。といっても避けれる確率は半々なのだけどな。



『次、左陶の方だ。頭を狙え』


『了解』


 ここで海老根が左陶のほうへ動いた。


 左陶の耳元で何かを話している。避難を促すのかもしれない。


【僕は今謎の組織に追われているのだ。あまり目立つような行動は避けたい】


 遠く離れた海老根が、こちらをチラリと見た気がした。


 左陶に向けてライフルを発射したがこれも海老根に弾を掴まれた。


 ここで海老根が左陶をかばうことが分かった。



『SAV全員聞け、帰還者対象が二名となった。ここで必ず始末するぞ。海老根は火魔法を使う。全員耐火装備、ライドルトは他一般人の誘導を頼む』


『了解』

『ライドルト了解』


 ライドルト君……そういえば女装についてはノリノリでやっていたと聞いているが、まあもう肉体的には女性と言っていいだろう。あとは俺たちの認識に変われば、もう彼は彼女だ。


「アキ準備しろ。戦闘が始まるぞ」


「はーい」


 気の抜けた返事だが実はちゃんと聞いてくれているのを俺は知っている。


 俺は普段着を脱ぎ、下に着ていた光学迷彩スーツ姿になり、海老根と左陶の方へと歩みを始めた。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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