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episode-0,1

お久しぶりです。

今年の山終いをして参りました!いや、冬の山は人間の生きる場所じゃないです。本当に!!!!

一睡もせずに動き回っていましたが、動いては行けない時はまじで夏と冬は人権が無い時間だと思ってます。


南方や北方に進行していた先人達は本当に凄いなと思います。


今回は少し副丘自身の話を載せさせていただきます。近藤のエピソードに出てきたメンバーが出てきますので良かったらどうぞ

1人の青年が人があまり通らなそうな建物の影で膝抱えの姿勢でタバコをふかしながら物思いに深けていた。

そこにひとつの影が近づいてくる。

「あ、副丘やっぱりここにいた」

「げっ、田神に見つかった」

ひょっこり顔を出した青年 田神は物思いに老けていた副丘の前にしゃがみ目線を合わせる。

「大佐がお呼びですよ大尉?」

田神がニヤニヤしながら言うのを嫌な顔をしながら煙草を地面に擦り付ける

「あのハゲ俺が逃げれない人選出してきやがって」

「まぁまぁ、教官の話も蹴ってるんでしょ?」

「当たり前だ。前回は了承したが今回のは前回と違う。誰が兵器になる人間を育てられるか」

立ち上がるとため息つきながらまた上を見つめる。

「さっきから何を見てる?」

「あ?いや、今日は珍しく静かだと思って」

「確かに、今日はこんないい天気だからアメ公もピクニックでもしてるんじゃないか?」

「それならいいんだがな」

2人で空を見上げたあと、顔を見合せクスリと笑い合い副丘は隊舎の方に向かい、田神は掩体の方へと歩いていった。

「副丘大尉、入ります」

敬礼をし中に入ると薄暗い部屋に男が1人ニヤニヤしながら座っているのを見て副岡は少し眉をひそめた

「ようやく来たか。こっちに来い」

手招きされ、机の方に軽く会釈をしてから近づくと一枚の紙を目の前に置かれる。

「これは明日の搭乗員名簿ですか?」

「そうだ。こいつらは明日特攻にでる者達だ」

特攻という単語に今度はあからさまに嫌な顔をして中身には目を通さずさっさとつき返そうとしたが

「おや、ちゃんと見なくていいのか?同期の勇姿にお前を直掩機の隊長に任命しようと思っているのだが」

「…………はっ、」

副丘は目を見開きもう一度紙をつかみ直し、中に書かれた名に目を通す。

中には副丘の分隊に入ったことのあるそれも特に仲が良く気心知れた者の名が書き連なっていた。

その後、副丘は自身がどうやって大佐の部屋から出てきたのか知らないが、廊下を早足で駆け抜け外に出ると周りが驚くような全力疾走で掩体に向かう。

「ここに田神は来てるか!!」

肩で息をしながら入ってくる副丘に整備士達は作業を止め敬礼をしてくる。こんな時にまどろっこしいと思いながらも雑に答礼をし中を見回すと整備士の1人がこちらですと案内をする。

そこに行くと先ほど名簿に書かれていた同期たちが顔を合わせて談笑していた。

「お、ようやく来た」

「凄い顔してますね」

「まるで鬼がいるようで」

副丘の存在に気づくのそれぞれ思い思いのことを言うが副丘の感情は収まらない。なぜこの仲間たちが行かなければいけないのか。

「まず一言。吉川、田神……おめでとう」

「全然おめでたそうな顔してませんね」

「誰が1番長い付き合いのお前の旅立ちを喜ぶか」

副丘は吉川に抱きつき肩に顔を埋める。副丘と吉川は海軍士官学校からの同期でそのまま一緒に飛行学生になった仲なのである。

特に吉川はもうすぐ少佐に昇格すると噂になっていたにも関わらず特攻に命じられたのである。どれだけ人員不足なのか嫌なほど分かる。

「田神は吉川が選ばれてから上に願出たらしいな」

「そりゃ、吉川は寂しがりだからね……冗談冗談。最期を飾るなら吉川の下で成功させたい」

田神は真剣な顔で首から提げていたお守りを握る。田神は元々衛生を志望していたが何の因果か予科飛行学生になり、飛行機乗りになっている不思議な人間だ。

「お前たちの特攻の直掩機指揮官に任命された。必ずお前たちを敵艦まで連れて行ってやるから安心しとけ」

「お、やっぱり副丘か!なら安心だな。そういえば聞いたか?もう少しで新しい戦闘機の部隊が編成されるらしい」

田神は話を変えたいのか急に他部隊の話をし始める。明日、吉川と田神は軍人人生に幕を閉じる。

「あぁ、何でも今までよりも馬力の強い子が出来てるとか聞きました」

「ってことはでかいのか。ゼロしか乗ったことないから少し気になるが重そうだからいいか」

2人が楽しそうに話す姿に少し視界を潤ませているのを帽子を深く被り隠し2人の話にのる。

今日しか一緒にいることが出来ないのである。実はこの3人には他に本当に仲のいい者があと数名いたのだが1人はラバウルにて戦死。消息不明が1人と病気により療養中で戦地から離れている者もいる。飛行学生であった頃は夢を抱きいつか皆で連隊を組みたいなど話していたものだ。

部隊に行き数年で戦争が始まり全員が一同に再会できた試しがない。

「……吉川、田神……俺は靖国で会おうなんて洒落なことは言わない。だが、もし来世があるのならまたお前たちとあいつらを入れてバカやりたい」

「ハハッそれはこっちが言うこと。先に向こうで教官に会ってくるわ」

「1番は大鷲さんに取られましたけどね……そろそろ時間なので失礼します」

3人は時計を確認しそれぞれの持ち場へと帰っていく。

明日、同期2人を死に場所へ誘導することになる。それがどれほど恐ろしいことか手が震える。1人になりたくない。それが副丘の心からの叫びである。

副丘は明日の自分の直掩機の編成の隊員たちが待っているであろう場所にゆったりと向かっていく。軍人は時間厳守とうるさく指導されてきたがこんな日ぐらい許せと心の中で思いながらフラフラと重い足を進める。

「…全員揃ってるな?明日の編成について------」



「本日の特攻者前へ」

「はい、吉川大尉!!」「はい、田神兵曹長!!」

朝早く儀式が始まり次々と前へ出る特攻者たちを見守る仲間たちと、飛ぶ準備を始める直掩機の隊員たち。

しかし、そこに副丘の姿は無かった。理由は副丘といつも列機を組んでいる隊員が問題を起こしその回収に駆られているのである。

「お前本当にふざけんなよ!!いつもなら怒んないがな、なんで今日なんだよ!!!!」

「すみません隊長!!!!」

なんともタイミングが悪いと田神と吉川は笑いながら飛ぶまでに時間があるため、自分の愛機に会いに行った。

特攻までにまだ時間があり整備士たちも最後の整備を行っていた時にそれは起こった。

「おい、上を見てみろ!!!!!!」

一人の声に一斉に上を見ると戦闘機の大群がこちらに向かって来ていた。すぐに戦闘機を掩体にいれ壊されないように全員が走り回る。すぐに空襲警報が鳴り始めた町の方から慌ただしい人々の声が聞こえる。

爆弾が落とされる破壊音やその中に機関銃の音を聞くと人が見つかったのかと、その人物の無事を願うしかない。

「いいか、完全に去ったら準備を再開する。あれだけの数が来たんだ。近くに空母が必ずいる」

空襲警報がなり終わるとすぐ整備士たちは掩体からゼロを出して行く。出てきたゼロに搭乗員たちは走っていく。

「副丘、このこと知ったら泣くかな」

「副丘さんなら泣きませんよ…絶対………そんなことより倉さんいつの間にここに来たんですか」

「ん?タイミングが本気で悪いさっきの空襲警報が起こる数秒前」

隣同士のゼロの横で話す吉川と田神に近づいてきた影に吉川が話しかけるとひょっこりと顔を出す。吉川や田神、副丘と一時一緒の飛行隊にいた岩倉七郎だ。射撃の腕はピカイチで撃墜王とも呼ばれている。

「副丘さんの代わりにしっかり自分たちを送ってくださいよ」

「俺を誰だと思ってる。しっかり華を飾らせる」

岩倉と吉川は拳を勢いよくぶつけ合い痛そうに手を振るのを田神はニヤニヤしながら見つめる。

ワチャワチャしていると初めに岩倉が出撃準備のため呼ばれ、手を挙げながら走っていく。

「……よし、自分たちも行くか」

「…そうですね」

_________

______

___

副丘が基地に帰ってこれたのはちょうど特攻隊が飛び立ってすぐであった。帰っている途中で南へ飛んでいく戦闘機に嫌な予感がし、全力で帰ってみれば戦闘機が1台も無い景色が広がっていた。

今回の戦闘機は全て飛べたのだという安心と、同期たちを送り届ける任務を全う出来なかった自身がとても悔しかった。

副岡はすぐに上官室に移動し、帰還の有無を伝えに行った。

「副丘大尉ただいま帰還しました!!」

「おお、副丘災難だったな。部下を迎えに行きそのまま空襲に合うとは」

「本当にそうですね……アイツらの直掩機は誰が」

「貴様と一緒で災難な男が1人こちらに着任してな……岩倉七郎一等曹だ」

岩倉の名を聞いた副丘は目を見開きほのかに口角が上がる。

自分はできなかったがあのころの仲間が一緒に行っているなんて心強い。

「岩倉一等曹なら無事全部の機体を成功まで送り届けることでしょう」

この時の副丘の表情は本当に優しいものであったと当時のことを振り返りこの上司は言った。その後岩倉は他の直掩機がほとんど帰ってこない中帰還し、見事成功したことを上に報告。 岩倉と副丘は2人で町に繰り出し静かに酒を酌み交わした。

岩倉が報告を上げた際、副丘と共に紫電改へ移るようにと伝達が入り、明日から特攻の直掩機ではなく防衛のためまた飛行機に乗り米軍と戦うこととなる。

「副丘、死ぬなよ」

「……はぁ、岩倉は階級が離れようが態度が全く変わらなかったな……俺は生きるよ。そのために特攻も反対していたんだ……死んだら意味が無い」

「アンタらしい返答で安心したよ」

2人は翌日から今まで相棒であったゼロを乗り捨て田神が言っていた新たな部隊へと移った。新たな兵器 紫電改は馬力の違いやその他諸々違うところがあり何より重さが全然違い歴戦の撃墜王である2人でも最初はチグハグ状態で冷や汗をかいていたかどうにか操縦できるようになった。

それから数日後の1945年8月14日

「副丘大尉が帰還しておりません!!!!」

「…………はっ?」

副丘文彦大尉は空戦の最中までは目撃した者もいたが空戦後の帰還の際、副丘の乗っていた機体だけ帰ってこなかったのである。最悪なのは列機を組んでいたものは機械トラブルや撃墜で副丘がどうなったのか見た人は誰一人としていなかったのである。

その後、1945年8月15日 終戦

突然突きつけられた終了と敗北に戸惑う中、撃墜されたと思われていた列機の1人田中上等兵が無事帰ってきてある証言をした。

「我が隊長、副丘大尉が乗っていた機体は片翼から煙が出ていた。援護に向かおうとしたら険しい表情で帰れと言われた」

田中の証言が確かだとしたら副丘は撃墜されたかまたは機械トラブルにあったかで飛行を継続することが不可能になっていたことが分かる。その事を聞いた上層部は副丘はもう帰ってこないであろうと結論づけ9月20日戦死と正式に認定され中佐となった。

副丘の遺書や遺品は田中の手によって妻へと渡った。田中が副丘宅で見た光景はまだ生後数ヶ月に満たない赤子が大きな声で泣いていたことである。

その子の名は和弘

生まれは1945年8月14日で丁度副丘が最期の出撃に出た頃合に生まれた子である。父を知らず育った和弘は後に副丘の夢であった警察官になるがまた別の話。

自分の教え子や同期を特攻で亡くし、それでも特攻反対派であった副丘文彦は未帰還という形でその生涯に幕を閉じた。被撃墜なのか自爆なのか今現在でも不明である。

少し過去のさらに過去話を入れさせて頂きました。

この話も今後、ストーリーの中でも触れていきますので、今後も見て頂けたら嬉しいです。



次話は現在に戻り麗奈の話に戻ります。

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