俺氏のスペックが雑魚すぎる件
『お子さんはもう救えない状態かもしれません』
医者が放ったそのたった三秒間が俺の耳に届く最後の言葉だった。
その耳障りな言葉は何故か、聞いたこともないはずなのに、これ以上ないほど鮮明に脳裏に残り続けている
『俺はどこにでもいるただの高校生A』
と言いたいところだが、俺にはまだ他の誰にも知られていない
いわゆる『特殊能力』を持っている。
その能力とはつまり
なんかたまに百%当たる予知夢が見れる。
必中夢、パーフェクトリードリーム、フューチャーシーイングなどさまざまな名前で呼んでみたこともあったがどれも落ち着かないので、とりあえず予知夢と読んでいる。
とは言っても故意的に見れるわけじゃないので
『特殊能力』
なんて鼻高々に言えるような能力ではない。
個人的にはもっと
『時間停止』とか『速射魔法』的な非現実な能力が欲しかったところなのだがそんなに上手くいかないのが相場なのだろう。
てかこれ特殊能力なのかよ
そんな他とは一風違った俺だが、別に運動神経に関して言えば、
五十メートル走を八秒で走り切るのがやっとなくらい平凡である。
学力に関してもこれと言った成績は残せておらず、せいぜい百人中三十位と言ったところだろう。
周りからつけられたあだ名は『ノーマルタイプ』だとよ、固く握った拳を振りかざすのを抑えながら苦笑いするのがやっとだ
でも、それも過去の話である。
今日から俺は高校生。幼稚園から小学校、中学生と色恋沙汰に恵まれて来なかった俺もついに高校生だ。
流石に義務教育を恋愛に関して言えば棒に振った俺は、
このままでは街頭インタビューで誠に遺憾な感情に浸るはめになってしまうと思い、
俗に言う高校デビューをしようと考えている。
こんな俺でも容姿だけで言えば近所のお母様方から『可愛い』と言われる程には整っている。
また、さっきも言ったが別に運動音痴でもないし、人並みに勉強もできている
よって導き出される答えは
『俺コミュ障なんじゃね』