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第42話:春の修学旅行 奈良編(東大寺、春日大社、平城宮跡)

 春休みが終わり、高校二年生になった。

 わたしたちは、同じクラス、二の三になった。

 さすがに離れ離れになるだろうと予測したけれど、杞憂に終わった。


 昼食時間にはみんなに会ってまた食べられるし、新しいオタク友達も出来た。

 オタク友達と一緒に食べる日、さなちゃんたちと食べる日とバランス良く調整した。


「みなさん、修学旅行の行き先は、奈良県と大阪府です。奈良では日本の歴史に直接、触れて、大阪では観光とUSJユニバーサル・スタジオ・ジャパンで羽目を外さないようにしてくださいね」


 と、新しい女性の担任の先生は言う。

 わたしたちは、「はーい」と、答える。


「それでは、ベースを持って行きましょうよ」


 ホームルームが終わると、旅のしおりを持ちながらわたしは言う。


「何でベース持って行くんだよ」


 と、るかちゃんはツッコむ。


「一泊二日だからね。練習しない日が続くと、下手になる可能性がある。私も持って行こう」


 と、さなちゃんは賛成する。


「じゃあ、うちも練習パッドとスティック持って行くわ!」


 と、えまちゃんも賛成だ。


「……いいよな。シンセサイザーを持っていくわけにはいかねぇし」


 すると反対派だったるかちゃんは、わたしたちの楽しい雰囲気に少し疎外感を感じたのか顔を赤く染め、うつむいてそう呟く。


「……えぇ……何で楽器、持ってきたんですか? 修学旅行ですよ? 余計な物、持って行くと移動が大変になるのに」


 先生は困り顔になる。

 修学旅行の当日、わたしたちは背中にそれらを背負っている。


「……もうバスが発車する時間ですね。……もういいです。紛失したり、盗難にあっても自己責任ですからね?」


 先生はわたしたちの背中を押し、バスに乗車させる。


 わたしの席は左の窓側、さなちゃんは通路側。

 一方、るかちゃんは右の窓側、えまちゃんは通路側だ。

 わたし、さなちゃんは、ギターとベースを狭いけれど、前の席の後ろに置く。


 わたしはさなちゃんと会話しているけれど、えまちゃんはすぐに寝てしまう。

 昨夜は楽しみで眠れなかったのだろうか?


 るかちゃんの方を見ると、靴を脱いでいる。

 体育座りで紫色のスマートフォンをずっといじっている。


「何、見てるんですか?」


 と、わたしは訊くと、


「ユーチューブ」


 と、彼女は答える。


 それ以降、彼女は、ワイヤレスイヤフォンを両耳につけた。

 音楽を聞きはじめたようなので、わたしは会話を控える。

 なので、さなちゃんの好きなSF映画を一緒にスマホで同時視聴する。

 アマゾネスプライムビデオで。


 数時間後、バスは奈良県に辿り着く。

 バスから降りて背伸びをし、奈良公園を歩く。

 わたしはまるで竜宮城のようなデザインの東大寺。

 それを生まれてはじめて実物を見て、


「でっかーい!」


 と、叫んだ。

 さらに薄暗い内部へ入る。

 巨大な大仏、盧舎那仏像るしゃなぶつぞうを見上げると、


「でっかーい!」

「うるさいな。デカいもん見て、テンション上がる気持ちはわかるけど、大声で叫ぶなよ」


 と、るかちゃんに叱られる。


 その後、奈良のシカたちにおせんべいをあげる。

 呉さんの言う通り、奈良のシカは広島のシカよりも、少し荒々しい気がする。


――というのも、


「……きゃ!」


 と、正面からシカに突進されたから。


「……くっ!」


 と、さなちゃんも背後から突進されたから。


「ちょっと!」


 と、るかちゃんも横から。


「きゃぁ!?」


 と、えまちゃんも二匹同時に横から。


 それから、興福寺や春日大社にも参拝する。

 その神社に通じる参道の、綺麗な春の木漏れ日。

 左右にある苔むした緑色の石灯篭。

 その石灯篭の間からシカが顔を出していたので、


「かわいいですね! 絵になる!」


 と、わたしたちはスマホで連写する。

 本殿に着くと、小銭をお賽銭箱に入れる。

 二礼二拍手一礼する。


 白いシカの口に、おみくじがくわえてある、かわいい置物を授かる。

 その白い紙を開くと、わたしとさなちゃんが中吉。

 るかちゃんとえまちゃんは吉だった。

 神様に感謝して結んで、白いシカを指で転がしながら春日大社を去る。


 その後、バスに乗車する。

 夕焼けの平城宮跡へ移動する。

 下りて朱雀門と呼ばれる入り口を抜ける。

 まるでヨーロッパの広大な平原のような風景が広がる。

 とてもここが日本とは思えない。


「すごいですね。だだっ広い。ここでライブしたら楽しそうです!」


 わたしは、両手を広げて言う。


「ほぉじゃねぇ」


 と、えまちゃんは微笑む。


「ここなんですよね。芥川龍之介さんの『羅生門』で、老婆が¨アレ¨してるの」

「そりゃー平安京よ。ここは平城京」


 と、えまちゃんはツッコむ。


「そうなんですか!?……えー、ずっと楽しみにしてたのに……。ここで老婆がやってたんだって……」


 わたしは、両手を後ろにやり、うつむく。


「……そ、そがいに楽しみじゃったん? 国語の授業で読まされて、うちにはあのシーンはグロくて、気持ち悪くなったけど……」


 えまちゃんは口に手を当てる。

 そのシーンを鮮明に思い出したのか、青ざめている。


「もえちゃんは、芥川龍之介が好きなの?」


 すると、読書家のるかちゃんはそう尋ねる。


「はい。あの人間や環境の汚さを、具体的に書いてて想像しやすいので!」

「そうなんだ。小説とか読まないと思ったから意外だわ」


 その後、第一次大極殿まで歩く。

 みんなでその前に立って写真を撮る。

 新しいオタク友達とも。


 今回は自撮り棒を持ってきている。

 なので、これまでもそれを用いて、自撮りしている。


 歴史の授業がまったく憶えられなくて苦手だ。

 けれど、実際に奈良時代の重要場所を見て回ると。

 当時の服装をした人々が生活している想像が出来て楽しかった。

 前世で奈良県に行ったことがないことも思い出してより一層に。

最後までご覧いただき、

ありがとうございました

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