第28話:自分の楽器に名前をつけるとしたら&もしもタルボを擬人化させたら
「わたし、昔から子供の名前を考えるのが好きなんですよね」
と、わたしが言うと夜風コーヒーのギター担当とドラム担当は。
自主練をやめて、わたしの雑談に付き合ってくれる。
わたしは愛する灰色のベースを軽く持ち上げると、
「たとえばこの子を¨心が太ってる¨と書いて、心太にしようかと」
「あれ、ところてんって読むんよ?」
「ところてん?」
と、わたしはえまちゃんに言われて首を傾げる。
「やめた方がええし、心が太ってるって言い方もどうなん?」
「ところてんって漢字があるんですね」
と、わたしは続いて、
「では、水に映る雲と書いて水雲なんて」
「あれ、もずくって読むんだよ」
と、わたしは、次はさなちゃんに言われて再び首を傾げる。
「楽器やペットならまだギリセーフだけど、子供につけちゃダメだよ?」
「もずくって漢字があるんですね」
「うん」
「では、さなちゃんのタルボを擬人化させるとするじゃないですか?」
「急に話題が変わったね。タルボを?」
「えぇ。わたしのイメージですと眼鏡っ娘で性格は、さなちゃんみたいにクール。趣味は『道端でポイ捨てされたアルミ缶を拾い集め、溶かしまくってベースのタルボを作ることが目標です』とか」
すると、さなちゃんはスカートのポケットから赤いスマートフォンを出す。
何かを探すと、わたしにとある画像を見せてくれる。
「実はタルボのベースってあったんだよ」
「え、そうなんですか?」
「うん。名前はそのままタルボベースでね。今は販売されていないから激レアなんだ」
「へぇー、アルミボディのベースって弾いてみたいですね」
「結構、居るんだよ。タルボベースの復刻を待ち望んでいる人。私は東海楽器さんがクラウドファンディングとかすれば、かなりの額が集まると踏んでいるんだけどね」
彼女はまたスマホを操作し、別の画像をわたしに見せる。
彼女は恥ずかしいのか若干、頬を赤く染め、
「……実は……タルボを擬人化した絵を描いたことあるんだ。ホント黒歴史だけど」
「え、めっちゃかわいいですよ! そして上手! ツブヤイターに投稿したら――」
「いやそれはさすがに。殺される」
と、彼女は言うけれど、本当に綺麗な絵だった。
それに何がきっかけで炎上するかわからない世の中だ。
また彼女は投稿して、『悪意ある人にネットのおもちゃにされるのは嫌だ』と言った。
最後までご覧いただき、
ありがとうございました
※2025.7.28
今回のやり取りは、しばらくボツにしていた第29話を、
ストックしていた別のネタに交換したものです




