第19話:生まれてはじめてかき氷で頭キーン
その後、かき氷屋でわたしはブルーハワイ味。
さなちゃんはイチゴ味。
えまちゃんは宇治金時味を注文する。
白いプラスチック製のテーブルと椅子。
その上にパラソルが設置された所で食べる。
ギターとベースを斜めにして、テーブルに立てかける。
道具は床に置いている。
テーブル上に氷を削った塊を三つ並べる。
ブルー、レッド、グリーン。
わたしたちは同時に口に含んだ。
その瞬間、シャリシャリとした食感と同時に、
「……わぁ……頭がキーンとするわぁ……」
えまちゃんは頭に痛みが走ったようで悶える。
「夏の定番だよね、大丈夫?」さなちゃんは、彼女の背中を優しく擦る。
「あぁ……死にそうになったわ……。かき氷好きじゃけど、これがあるけぇちょっと躊躇するんよね……」
えまちゃんは額に手をやり、青ざめて苦笑いする。
「わたしはなったことがないので、どんな感覚なのか知りたいです……!」
「……こらこら、そがいにはよ食べると――」
と、えまちゃんは言う。
わたしは本当に急いで口に運ぶと、
「……痛っ!? なりました……!」
わたしの身体の中で電流が走る。
えまちゃんの方を見ると彼女は、
「え、どうじゃった?」
「まるで宇宙の全知識をディスクに詰め込んだ物を、ドライブに読み込まれて、うなるパソコンの気持ちのようでした!」
「何ゆうとるん?」
「つまりですね。小学生の頃、『地球の音』をはじめて聞いて、感動した以来の衝撃ということです」
「そっちの方がまだわかりやすいわ。頭キーンってなるやつ、宇宙レベルだったんじゃね」
と、えまちゃんは納得するとテーブル上に腕を組む。
さなちゃんは、「ちなみにあれは一九七七年にNASAが、打ち上げたボイジャーから送られたものなんだよ」と、豆知識を披露してくれる。
わたしは宇宙に詳しくないので、「宇宙旅行が一般化したら宇宙の匂いを嗅ぎたいですね」と言うと、「ラズベリーの様な匂いらしいよ」と教えてくれる。
「へぇー、良いですね!」
「うん」
「でもわたし、宇宙とか興味ないんですよね」
「……えぇ……」
と、さなちゃんに呆れられる。
やがて、かき氷を食べ終えると、容器とスプーンを捨てる。
最初に演奏するバンドがどんな感じか聴きに行く。
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