第15話:ファミリープールで募集中
七月、梅雨の季節が終わる。
さらに気温は上がり、久々に太陽の光を大地は浴びる。
わたしは障子窓を開けると、窓に張り付いた雨粒が滴り落ちる。
夏の朝風を浴びると、濡れたアスファルトや地面には水溜まりがある。
その水溜まりに、雲と青空が映っている。
早起きが苦手なわたしは毎朝、頑張って起きる。
川でベースの練習することを決める。
衣替えで冬服から夏服に変わった。
白い半そでカッターシャツと赤いリボンと黒いスカートの姿で。
「ねぇ、夏休みも曲の練習も良いけど、海に行かない?」
と、さなちゃんは言う。
体育館で終業式をして、ホームルームも終わった放課後の教室内で。
「えー、うち夏が苦手じゃけぇ、練習以外で外に出たくないんよね」
と、えまちゃんはハンディ扇風機を顔に向けてそう言う。
私の方にも風を送ってくれる。
「それではプールはどうですか? そこで水着姿でバンド演奏する美しいお姉さんたちを眺められたら……」
わたしも手を組んでそう言ってみる。
アニメの水着回を見て、うっとりとするように。
「何で水着姿で演奏なんよ。変態か。とにかく、うちは――」
「あ、プールでバンドの生演奏を披露する募集があったよ」
「あるんじゃ!」
「あるんですか!」
えまちゃんとわたしは叫んだ。
さなちゃんが赤いスマートフォンの画面を見せてくれる。
「じゃけど、別に水着姿で演奏しなくてもええじゃろ?」
「……いや、どうやら女性で水着姿以外の演奏は禁止らしい」
「何じゃそれ! 主催者は女の人の水着姿がじっくり見たい変態じゃろ!」
と、えまちゃんは怒鳴る。
さなちゃんも「どういうこと?」と呆れている。
わたしも応募要項をよく読むと、
「まぁまぁ。とにかく、演奏するのに入場料は無料になると書いてありますし、わたしたちがはじめて人前で演奏するにはいいんじゃないですか?」
「いや、水着姿で演奏するんよ? 本気なん?」と、えまちゃんは言う。
「それでしたら『水着姿で演奏したくない』と言えば、承諾してくださるんじゃないですか?」
「うーん……まぁ、そうしよっか」
わたしたちは、一緒に教室を出る。
下駄箱で上履きを脱ぐ。
靴をはき、昇降口を出ると駅へ向かう。
先ほどの募集をさらによく読む。
『広島を音楽で盛り上げていこう!』という企画らしい。
わたしは難しいことはよくわからないので適当だけれど。
地方都市を活気良く、経済を回すには良いことではないかと思う。
それから様々な場所でこういったイベントは開催される予定とのことだ。
――数十分後、ファミリープール。
屋外プール施設へ辿り着く。
そこの入場受付の係の人に声をかける。
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