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やっぱりヒロインですか?いえポンコツです

「ひっ化け物」


 童貞を拗らせてある間、騒音が激しかったがその間も絶えず白目を向いて悶えていた。

 だが来栖の奇行も、まるで深淵の奥から誰かに見つめられているような視線を感じ現実に引き戻される。

 

(測定不可能ただちに逃げることを推奨)


 目の前にはまるで死そのもののような黒い渦が渦巻いていた。夥しい幻夢の顔が苦しそうな目をしてこちらを見ていた。

 命の危険、まるでトラックで跳ねられる寸前のように生命に危険を感じ直感で見るような、そんな感覚に襲われるとともに初めてみる文字が出てきた。


 ガチガチガチと歯が鳴っているのに気づいたのは今更になってだった。


 さっきの異様な姿をした幻夢ですら怖いと思ったがこんな心臓を鷲掴みにされたような感覚になったのははじめてのことだった。

 (誰だこの人、というか人なのか)


 身体中嫌な汗が吹き出し、来栖が怯えていると誰かが近づく気配に気づいた。


「おい〜草壁、どこで油売ってたんだ?♪」

「愛丸ちゃんーいやね?おばばに緊急で依頼されて孫の警備的な?。あとね草壁じゃなくて日下部ね?微妙に発音違うから」

 「愛丸はおいてかれてへんな幻夢に襲われたですよ?まぁあんなの刀の鯖にすらなりませんが」

 「おーさすが愛丸だねー」


 目の前の死はこちらに関心がなく、新しくきた眼帯をつけた大正時代の学生のような女の子と会話をしているのを見て少し安心してある時だった。


 「ねぇ?大丈夫」

 「あぁ、」

 「あー!やっと気づいてくれた!助けてくれてありがとうね?告白はダメだけど」

(100%)

 声をかけてきていたのは先ほど助けた女子高生だった。

 相変わらず100%という今まで見たことない数値の好感度に来栖が驚いていると鼻を擽る良い花の香りとともに、女子高生がその足で来栖に近づき身体中を見渡し何かに気づいた様子だった。


「あー!神藍高校の人なのー!?」

「え?あそうだけど」

「凄い!コンセプション使えてるてことは将来有望だね!」

「そんなもんじゃ……」

「そんな私も!なんと今度神藍警察官高校に転入が決まってるのです!」

「え?まじ?」

「まじまじ!」

「あ!自己紹介まだだったね私琴花よろしくね」

 眩しい笑顔で彼女は来栖の手を上下に激しく振る。

「俺は神河来栖よ、よろしく」

「うん!よろしくね!!」

(う……眩しい)

 今までまともに女子と触れることのなかった来栖は100%という数字は関係なく今まで感じたことがない以上にドキドキしていた。


 (こちらとら童貞様だぞ、これはもう好意あるよね?あるって言ってよ?お願い…)

 と童貞を拗らせつつ彼女が転入してくることに関して来栖は思うことがあった。


 (コンセプションが使えるてことはうちに転入も理解できるけど…)


 神藍高校。ひと昔前までは高校を卒業した後警察官育成所に通い警察官になるのが一般的だったが、空が割れた日、通称空虚の夜が起きてから神話の時代が始まり幻夢が現れ深気に満ちた混沌とした世界になったことで警察官のニーズが高まった。

 それとともに幻夢との戦闘や、コンセプションを利用した犯罪者を相手にすることでなんと警察官の殉職率は脅威の1位。お給料はその分良いがニーズと供給が世界中で間に合っていないのが現状であった。


 若いうちから深気に触れて育ちコンセプションの力が適正検査によって認められているものは未成年、成年問わず法律によって半端強制的に警察官か幻夢官になることが決まっている。

 幻夢官を5年務めた後は幻夢討伐、指導に関係する職業なら転職が可能になっているがそれまでに生きていられるかもわからないのが現実、だが幻夢から自分の身を自分で守れるようにと警察官に就職を望む声もある一定数はある。

 そこで採用されたのが、アメリカの現地警察のような機関だった。

 アメリカには警察官と保安官が両立している。簡単に言うと警察官は州を跨いで事件に関われる。保安官はその州のみ警察官と一緒の扱いという感じだ。うちの高校は5年生となっており、その間に仮の幻夢官として警察官と同じ公務をこなしたこととなり、その後続けるか、幻夢に関わる職場に転職するかは自由だ。


 目の前の、先程まで幻夢に襲われていたのに肝っ玉が座っているのか、単純に忘れているアホな子なのか不明だが満面の笑みで手を握ってくれる琴花に対して、若くても幻夢に触れることが多い学校への転入。

 今日みたいな命の危険にさらされる現実を、わかっている様子が全くない目の前の琴花のこれからが心配になる来栖であった。

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