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ショタのロンド4 

 ロンドー!



 何でも屋『よろずやん』


 世界各地に出店している何でも屋です。多分何でもは無いです。それなり屋です。


 もうちょっとジャンク品の値段を下げてもいいと思います。なにせジャンクですから。


 あと際どいパンツをお勧めしないで欲しいです。僕は普通のパンツで良いのです。買い取りとかもノーサンキューなのです。





 ヒロインちゃんと手を繋いで島をテコテコしてましたが、すぐにお目当ての場所に着きました。島は小さいのです。というかヒロインちゃんの家から遠くないんですよね。


 道すがら近所のおじさんとおばちゃんにも出会ったので挨拶したりもしました。勿論ヒロインちゃんとのデートをからかわれました。いつもの事です。


 でも……本気で悔しがってる演技はやりすぎだと思うのです。この島の人は本当に芸達者だと僕は思います。特にボブおじさん。


 ……ヒロインちゃんに対して激しい嫉妬の感情を表すのは何故? 


 そこは僕に対してでは?


 血の涙を流してまで演技しなくても良いと思います。普通に怖いです。ホラーです。


 一緒にいたおばちゃんはおばちゃんでヒロインちゃんに耳打ちして何か頷きあってましたし。


 結局血涙を流して地面を叩き続けるおじさんの首を引っ張っておばちゃんは去っていきました。


 おばちゃんは最強だと思います。ヒロインちゃんもあと何年か経ったら……ああなってしまうのでしょうね。きっと。


 まぁおばちゃんには畑で採れた新鮮お野菜を貰ったので感謝なのですが……。


 ヒロインちゃんも尻で全てを蹴散らせるようになってしまうんですかねぇ。


 出来ればスマートなヒロインちゃんのままでいて欲しいです。あと何年かすれば僕も長身で素敵なハンサムガイになる予定なのです。


 ……じじいが小柄だから望みは薄いですが希望を捨ててはいけないのです。


 きっと二年後には身長が二メートルを越すのです。ずももももっ! と伸びるのです。


 そしてヒロインちゃんをお姫様抱っこしてバラダン島障害物マラソンで入賞してみせるのです!


 ……前回、僕を抱っこしてぶっちぎりの優勝を果たしたのがヒロインちゃんです。


 ……僕もマッチョになりたいなぁ。あ、よいしょー。


 そんなこんなで、お野菜の入った袋を片手に、もう片方の手はヒロインちゃんと繋いで僕は『よろずやん』へと向かったのでした。


 今日の夕飯はナス味噌です。ふふふ。





 ここ、バラダン島は田舎です。それはもう、凄まじく田舎なのです。お店と言えるお店はなんと三軒だけです。


 島役場の近くにある定食屋さんとお酒を出す居酒屋さん。そして僕らが来た『よろずやん』です。


 定食屋さんはお持ち帰りが出来るお惣菜屋さんでもあります。僕もお世話になってます。特にお魚が美味しいのです。


 居酒屋さんは……僕は立ち入り禁止なので詳しくは知りません。じじいがよく行ってセクハラして島の牢屋にぶちこまれてます。つまり不潔な所なのです。多分無くても良いんじゃないかと本気で思います。


 で、島民の生命線。日用品のほぼ全てを取り扱っているのが『よろずやん』です。


 何でも屋なので『何でも』扱ってます。


 たまに『伝説の剣! 入荷しました!』とか『あの魔法少女の復刻版コスプレ衣装! 三着のみ!』とかよく分からないポップが張り出されます。とんでもない値段なのできっとネタだと思います。すぐにポップが無くなるので多分ネタです。お茶目さんですよね。


 ここは看板娘のお姉さんが働いているお店でもあります。


 ……大人のお姉さんです。すごく大人っぽくていつもドキドキしてしまいます。いつも履いているのが靴下ではなく黒のタイツとか……お、大人ですっ! 


 バラダン島は暑いので普通にすごいと思います。いくらスカートとはいえ、黒のタイツとか汗が大変だと思うんですよね。汗疹とか。ヒロインちゃんは基本的に裸足です。サンダルは履いてますが靴下は滅多に履きません。最近爪の先がピンクだったり赤くなっているので、お洒落に目覚めたようです。


 ペディキュアでしたか。


 ……僕もママさんに塗られたんですよね。


 ……ヒロインちゃんよりも先に僕がペディキュアデビューしたんですよねぇ。


 ……えーと。棚の空きは……この辺かな。ていっ!



 よろずやんのお姉さんは数年前に島へやって来た人で色々と物知りな人です。都会の事とかすごく詳しいのです。


 この島に来る前は都会でバリバリ働いていたそうです。


 ……電撃系のお仕事ですかねぇ。かなり特殊な職業っぽいけど職に貴賤無し、ですからね。


 お姉さんは地味系女子を目指しているそうで三つ編みで眼鏡も掛けてます。勿論伊達眼鏡です。眼鏡を外して髪を解くとすごい美人さんになります。


 まさに都会マジックです。


 テレビに出てるようなモデルさんみたいになります。


 もし僕にヒロインちゃんが居なかったら……きっと初恋の人になっていた気がします。それくらいに綺麗なお姉さんへと変身するのです。


 優しくて美人で大人なお姉さんです。憧れて当然ですね。


 ちなみに僕の初恋の人は『ヒロインちゃん』である……ということにされています。


 ママさんかヒロインちゃんか、どっちかを選べと脅されたのです。ええ、武力による脅迫でした。


 あのときは死んだと思ったなぁ……気付いたら病院のポッドの中でしたし。多分体が半分……いえ、昔の話ですね。よいしょー。




 そんなこんなでお店に入ってお姉さんに挨拶です。


 お姉さーん!


「ジョニー君。ちょっとヒロインちゃんのツラ貸してもらうわね」


 先手を打たれました!


 お店の扉を開けた途端にエプロン姿のお姉さんが仁王立ちです!


 しかも笑ってるようで笑ってない顔です!


 ……まぁよくあります。お姉さんとヒロインちゃんはよく殴り合いをする程の仲良しさんなのです。


 お姉さんはよく壁にめり込みます。


 ……棚に、えいやー!



 何でも屋『よろずやん』はどの支店でも同じ店構えをしているそうです。


 島にはありませんが『コンビニ』といわれる都会特有の何でも屋さんと同じスタイルのお店らしいです。


 というかその支店がこのお店ですね。


 四角い店内に棚が並べられててそこに品物が展示されてます。実物ではなくてホロパネルですけどね。買いたい時はこのパネルをポチッとしてからお会計に行くのです。


 お店の入り口側の壁は全面がガラス張りで店内はいつも明るくて清潔感に溢れてます。


 ……あ、店が揺れてなんか鉄の臭いが……棚……心の棚にえーい!





「ぐふっ……い、いらっしゃいジョニー君……今日も掘り出し物を見ていくのかしら?」


「……お姉さん。どうか休んでてください」


 お姉さんは、お会計の近くにいた僕の方にヨロヨロと近付いて来ました。


 すごいです。何事も無かったかのように接客です。足を引き摺りながらですが。


 お姉さんはプロです。腹を押さえながら……脂汗を垂らしながらも営業スマイルです。なんか紅いのも頭から垂れてます。


 めり込んでた壁からここまで床に点々と……。


 ヒロインちゃんは容赦を知らない子です。血のついた手でまた恋人繋ぎするくらいです。


 何故天はこの子にこんな力を与えたのでしょうか。


 今日も壁に穴が開きました。お姉さんの形をした穴です。穴の奥に商品が見えるので壁の向こうは倉庫なのでしょう。


 お姉さんが少しずつお会計のテーブルに近付いていきます。どう見ても負傷者です。


「……けふっ……少し……座らせてもらうわね」


 お姉さんの膝が明らかに笑っています。生まれたての小鹿です。でも顔は笑っています。ヒロインちゃんも澄まし顔です。


 ……女性ってすごいですよね。


 お姉さんがお会計のテーブルにくたりとしたので僕とヒロインちゃんは店内を物色することにしました。


 このお店は小さいけど扱っているアイテム数は万を優に越えるそうです。棚に展示されているのはよく売れるアイテムが厳選されて表示されているのです。便利ですよねぇ。


 ……セーラー服とか目の前の棚のパネルに表示されていますが、きっと気のせいです。うん。男性も着用可とか書かれてますが、きっと気のせい。


 ヒロインちゃんが僕の隣でセーラー服に眼を爛々とさせていますので他の棚に移動です。


 ヒロインちゃんは活発な女の子です。スカートよりもズボン。ズボンよりも短パン。むしろパンツ丸出しで野を駆け抜けるような女の子です。いや、でした。最近は見えても大丈夫なパンツを履いてるようです。


 ……大人になったんですねぇ。


 ……ちなみにその見えても大丈夫なパンツ……僕も履かされた事があります。


 ……パパさんがすごかったなぁ。あのときは。


 さて、棚の拡張工事をしないと。よいしょ、よいしょ。





 お姉さんの観察記と違う箇所もありますが仕様です。

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