ショタのロンド1
ショター。
ロンドー。
あまりー。
気にしないでー。
僕の名前はジョニー。
島で有名な『粋でいなせなジョニー君』とは僕の事です。何故か自己紹介を頼まれたのでこれを書いてます。まぁいいんですけどね。よくあることですし。
僕は発掘士として働いている○○才です。ピチピチです。
……あれ? 何で伏せ字に?
まぁいいです。よくあることなので気にしません。
僕はバラダン島という小さな島でおじいちゃんと一緒に暮らしています。僕が物心着いたときから両親は居ませんでした。おじいちゃんと二人です。
僕もそれが普通だと思っていたので寂しいとかは……あんまり無いです。お隣さんやロボも居ますし。
家ではおじいちゃんの他にもパートナーロボットであるロボも暮らしています。
網に掛かった太古のコアを修復して一から組み上げた僕のロボットです。
ロボを組み上げたのは確かに僕なんですけど、奴の適当な性格は地です。あれは僕の責任じゃ無いのです。勝手にああなったんです。文句はロボに言って下さい。
昨日も勝手に倉庫を漁ってエネルギーパックを盗み食いしてたし……はぁ。
あれは市販のものを改造して毒性を高めた食べちゃいけない物だったのに。ちゃんと『食べるな毒!』って書いといたのにそれでも食ったんです。
今もロボが倉庫の隅で痙攣してますが……まぁ半日はああなるはずなので想定内です。
やはり僕の見込みは外れていなかったのです。ふふふ。
別にお仕置きを兼ねたイタズラではないのです。ふふふ。
何せあれを作るのに、ちょっとお高いエネルギーパックを三個も使う羽目になったのです。ちょっと冒険しすぎたかなぁと後悔してますが……大丈夫。
ロボのご飯を向こう一月、一番安いのにするので大丈夫なのです。
摂らなくても大丈夫っぽいけどロボは欲しがるのです。ロボは自己主張が強いロボットなんです。
……今は床で痙攣してますけど。
なので僕の毎日は結構大変です。頻繁に遺跡へ行って発掘作業をするのが僕のお仕事になっています。
生きるためにはお金が必要です。ええ。世知辛いのです。改造パーツも中々にお高いのです。ロボのエネルギーパックもただではありません。それなりにお高いのです。今なら鉄パイプを三本くらいですかねぇ。
鉄パイプは島の需要が満ちてしまったので買い取り価格が下がってしまったのです。
まぁ僕も再生してインゴットにするならまだしも、パイプのまま売ってるのはどうかと思いますが。
何故か買い取る時に頬擦りすると査定額が跳ね上がるのも謎なのです。
……不思議ですよねぇ。
きっと深く考えてはいけない事なんでしょう。この島では、よくあることなのです。考えちゃいけない……心に棚を作るのです。
査定前、鉄パイプに跨がって魔女ごっこをすると更に値段が跳ね上がるんですが……流石に僕も○○才なので恥ずかしいのですよ。
まぁ去年までやってましたが。
一応鉄パイプ以外にも色々と発掘して売り捌くことで僕は生計を立てています。おじいちゃんが……なんというか……自由人なので仕方無いんです。
それにおじいちゃんは昨日……。
だから今日も頑張って『発掘発掘ぅ!』なのです。
僕の紹介はこんなもんですね。次は……『発掘士』についてです。
『発掘士』とは過去の遺跡に潜り込んで遺物を発掘し、それを売ることで生計を立てる者を言います。一応国家資格が必要とされるお仕事です。
まぁ子供でも簡単に取れる資格なので特にどうだ、という事もないです。
遺跡に入ったり遺物を売るにはこの資格が必須になるだけです。本当にそれだけです。身分証にも使えないのです。
まぁ実際の所、無資格で遺跡に勝手に入ったりする人も居ます。更には無許可で遺物を売り払う人も居ると聞きます。
でもちゃんと意味はあるのです。でないと資格の意味がありませんから。
無資格で発掘するような悪い人にはまず間違いなく『洗礼』が待ち受けています。
僕は資格持ちですが『洗礼』を受けたことがあります。そういうものとして覚悟していたから軽症で済みました。それでも大変でした。
洗礼……それは僕達『傀人』にとって切っても切れない宿業なのです。およよよよ。
……。
……真面目な話ですよ?
まぁ僕も『およよよよ』は無いと思います。
さて、発掘には『アウトロー』が付き物です。あいつらは基本的に遺跡で暮らしています。なので発掘しようと遺跡に入ると必ず遭遇します。
本当に必ず遭遇します。それも群れです。かつて『旧人類』によって作られた悲しき機械生命体の残滓とも言われる存在。
それが『アウトロー』と言われています。
実際は傍迷惑なだけの機械達です。ええ、マジで。
やつらは僕らを妬んでます。すっごく僻んでいるのです。
その僻み根性で襲ってくるのです。
ただ《リア充っぽい》というだけで。
実に迷惑な奴らです。ええ、マジで。
そう……発掘士とは常にそんなアウトロー達に警戒していなければならない危険な職業なのです。
資格を取る際、ちゃんと講習があるのです。対アウトロー講習ですね。
一般人も普通に襲われるので常識として、ある程度の知識はみんな知っています。
講習だともう少し詳しく教えてくれるのです。まぁそれでも洗礼は食らったんですけどね。
あの講習……意味あったのかなぁ。
……考えてはいけません。うん。心の棚に仕舞うのです。とうっ。
さて、そんな恐ろしい洗礼ですがその具体的な中身です。
洗礼とは『アウトロー達によるコチョコチョ攻撃』なのです!
なんて恐ろしいっ!
あいつらは束になって追いかけてきてコチョコチョしてくるのです!
それも動けなくなるまでコチョコチョしまくるのです!
ボール型のマシンがボディ側面から腕をにょきっと生やしてきてこちょるのですよ!?
僕は……恥ずかしながら最初の洗礼で色々と粗相をしてしまいました。
だけども!
それでも奴らは止まらなかったのですよ!
あの悪魔どもめっ!
人の尊厳を尽く蹂躙して颯爽と去っていったのです!
『あー、良い仕事したっ!』みたいな感じで。
まぁそれは傀人限定でロボット相手だとガチの壊し合いになるんですが。
アウトローはかつての『旧人類』によって作られたとされてます。だから傀人に対してそのようになったのだと言われています。
『旧人類』の残した呪い。
それがアウトロー達であり『旧人類』の恨みがまだこの世界に残っている、という証拠らしいです。
……『旧人類』というのはトチ狂った人達だったんですね、きっと。
立ち上がれなくなるまで擽るってどんな変態的な恨みなのですか。
発掘士でなくともアウトローと道端で遭遇しちゃう人もいます。
勿論ヤられます。
タイマンだと勝てるんですけど奴等は基本的に群れなのです。ボールが沢山コロコロなのです。
ええ、ヤられます。
こんな感じでアウトローというのは恐ろしい奴等なのです。
そんな奴等の巣である遺跡に乗り込む発掘士というのは、それは大変なお仕事なんです。
でも尊厳破壊コチョコチョを食らって発掘士を辞める人はあんまり居ないそうです。不思議ですねぇ。
僕はお金の為に……あと機械のパーツも欲しいから発掘士をしているのですが……他の人はメンタルが強いんですねぇ。
発掘士はこのぐらいですか。
あとは……どうしよう。
うちのロボの話もしておきますか。ロボットと発掘士は二つで一つ、みたいな所がありますからね。
まずは出会いからですね。あれは僕がまだ小さかった頃の話です。
……今も大きくはないですが、気にしてはいけません。心に棚を作るのです。とうっ。
漁の網に掛かったガラクタを漁師のおじさんに貰って、それを解体しようとしたらそれがロボのコアだった……というのが僕とロボの馴れ初めです。
ロボは旧式の機械生命体のようでドラム缶みたいなガワにコアが内蔵されてる珍しいタイプでした。
見た目は完全にドラム缶で、サイズはかなり小さく、人がやっとこ入れるくらいでしょうか。
人を入れるドラム缶とか犯罪の匂いしかしませんが。
漁師のおじさんも困ってましたね。こんなのが網に掛かると網が壊れるって。
僕としては中身が気になったのでそのドラム缶を家に持ち帰ってすぐに解体しようとしたのです。そしたらドラム缶が喋りだして……という感じです。
餌付けして手懐けました。
まぁまだ解体は狙ってますけどね。
今のロボのボディにはそれがみっちり詰まってます。ロボが無駄にデカイブリキロボットなのは、そのせいです。ボディに合わせると他のパーツも大きくなってしまうんですよね。足なんて飾りなのに。
……当の本人は、まだ床で痙攣してますね。
こんなへっぽこなロボですが僕にとっては大切なパートナーなのです。
いつかは超巨大ロボとして変形合体出来るくらいに改造する予定なのです。ふふふ。
さて、自己紹介はこの辺でしょうか。
毎月恒例とはいえ毎回自己紹介をするのは大変なんですけど……これもお仕事ですからね。
……これが発掘士の仕事で良いんでしょうか。
……心に棚を作るのです。とうっ。
ちょこっと解説。
ショタとショタコンは別物です。ショタは少年そのものを指します。ショタコンは、そんな少年の事が好きな人を指します。
マザーとマザコンが違うのと一緒ですね。