表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/40

ショタのロンド9 

 ロンドー!



 僕だって男の子です。ヒロインちゃんとケンカした事も数知れず、なのです。


 男には決して逃げられない瞬間ばかりなのです。


 そう! ヒロインちゃんとのケンカは基本的にボス戦です。

 

 逃げようとした瞬間に終わります。


 ええ、ボスに敵うわけがないのです。


 まぁ弱点を突けば僕の圧勝ですけどね。ふふふふふ。


 ……ウソは……ダメですか?





 島役場で女子トークしていたよろずやんのお姉さんに聞きました。


 どうしたら天空船に行けますか、と。


 少しでもお姉さんの口を軽くするため定食屋に誘って甘味でご機嫌を取りながらです。


 さっきパーソナルデバイスを確認したら、とんでもない額が僕の口座に振り込まれていたので軍資金に不安はありません。


 何でもこいっ! ですね。


 むしろ額が多すぎて震えました。僕は何を拾ったんでしょうか。


 あのお姉さん達もちゃんと仕事はしていたようです。多分僕が詮索するのを防ぐためにあんなことをしていたのでしょう。それくらいにヤバイ額です。


 余裕でウルフ軍団が出来ます。この辺りのアウトロー達を一掃出来る戦力です。肉球ぷにぷにで島民がみんな幸せになれます。


 ウルフも仲間が増えたら喜ぶ……かなぁ。あいつも素直では……尻尾は素直ですね。序列の関係もあるのでチビウルフ軍団でもいいかもしれません。


 まぁじじいの慰謝料で大半は消えますがね。ははははは。


 


 島唯一の定食屋さんに僕とお姉さんが対面でテーブルに座っています。このお店は『大正モダーン』というコンセプトで作られた喫茶店風食堂なんだそうです。


 お客さんは僕とお姉さんだけ。まるでデートですね。目の前で微笑むお姉さんはテーブルに肘をついて優しい目をして僕を見つめています。


 お姉さんはやっぱりお姉さんです。大人の余裕がすごいです。


 このお店はあんまり繁盛していません。いえ、お持ち帰りは盛況なんですけどね。


 ……マスターが男なのにスカート愛用者なのです。


 ハカーマと呼ばれる何処かの伝統衣装で、黒ブーツも履いてます。頭にはリボンも付いてます。上着は袖がフリフリです。多分女の子がこの格好をしたら可愛いのでしょう。


 ……店のマスターは身の丈二メートルを越える極厚のマッチョメンなのです。


 お世辞にも可愛いとは言えません。怖いです。でもこの服が好きなんだそうです。まぁ趣味趣向はその人の自由ですからね。


 それはいいんです。でも……。


『ハイカラぁぁぁぁぁぁ!』


 と叫びながら注文した物を持ってくるのは止めて欲しい。


 毎回心臓が止まりそうになります。


 ここのご飯はどれも美味しいのですが……あまりお客さんがいないのはそういうわけなのです。デザートも揃ってるのに……。



「ハイカラぁぁぁぁぁぁ!」


 うひっ!?


 




 ……頼んでいたものが届きました。今日のマスターは紫です。なんて圧力なのでしょうか。昨日はピンクだったので……まだマシですね。


 お姉さんは微動だにせず涼しい顔です。大人です。なんて大人なのでしょうか。


 でもそんな大人なお姉さんも可愛い女の子なのです。


 僕はマスターが持ってきてくれた黒あんみつを早速食べているのですが、お姉さんはそんな僕を見つめながら……よだれを垂らしていたのです。


 お姉さんは、黒あんみつが大好物みたいです。器ごとあげようとしたらお姉さんの目力がすごいことになりました。僕は知っています。この眼力プレッシャーの意味を。


 なので『恋人風あーん』をしてみました。


 お姉さんの頭がブレました。


 匙も消えました。


 気付いたらお姉さんが隣に座っていました。つい今しがたまで目の前に座っていたのに真横に居ます。


 ……まぁ、よくあることですけどね。


 お姉さんと『あーん』を互いにしながら天空船の話は進んでいきました。遠くでマスターがぶっとい親指を立てているのが見えます。


 ……いい笑顔です。マスター。


 でも……胸毛は剃っておきましょうよ。溢れてますから。まるで巨乳です。いや、胸毛が溢れるまでもなく巨乳なんですけどね。筋肉で。


 



 で、結論です。


 天空船に行くのはものすごーーーーーーく、大変という事が分かりました。


 ……まぁ分かっていた事ではあるんですが。


 甲斐甲斐しく僕のお世話もしてくれたお姉さんに聞いたところ、天空船に行くには幾つかルートがあったのです。


 そのなかで一番簡単な条件が『人間国宝になる』ことです。なれれば招待されるそうです。


 ……五十年後に期待ですかねぇ。発掘士は人間国宝になれるんですかねぇ。まぁ無理っぽいので不採用です。



 次が『世界を救うほどの活躍をみせる』こと。


 英雄になれば天空船に招待されるのです。


 これは……まずは世界の危機を望む必要がありますね。むしろ世界の危機を自ら作り出す必要がありそうです。今の世界は平和ですから。


 ……あれ? 英雄というか……むしろ世界を滅ぼす魔王ポジション? 


 ……却下です。



 ……そうです。そうなのです。


 基本的に『招待』されないと天空船には行けないのです。


 こっちから行くと必ず拒否されるそうなのです。それは天空船の掟に引っ掛かるそうで『悪しきものを決して入れず』を徹底して守っているからなのだそうです。


 地球が二度も滅んだ歴史を辿ると納得ではあります。


 のこのこと来るものは悪いやつだ! という暴論に思えますが、天空船は長い歴史の中で何度か襲われているのです。


 天空船に乗り込んで世界を支配しようとした悪の組織が昔実在したのです。それもわりと最近。


 その組織の名は『ダンバラ団』


 己の欲望のままに生きることを至上命題とした狂信者達です。


 彼らは自らの性癖を嫌がる人に押し付けて回りました。そして多くの悲劇が世界に溢れたそうです。


 このままではこの世界が偏った性癖で溢れてしまう。世界はアブノーマルがノーマルになってしまう。大袈裟に聞こえますが、この店のマスターが世界全土で量産されたと思えば納得です。


 世界はまた滅んでしまうのか……そんな危機に立ち上がった勇気あるもの達、勇者達がいたのです。


 彼らは自分達をコードネームで呼び表しました。己の性癖に呑まれぬよう、『正義』を体現するひとつの武器になるために。個人であることを完全に捨てたのです。



 灼熱レッド


 蒼天ブルー


 幸せイエロー


 マリモグリーン


 そして……裏切りのブラック


 この五人が天空船に居座っていたダンバラ団盟主『ダンバラ団長』をフルボッコにして世界は平和を取り戻したのです。


 ちょっとずるい気はしますが、当時のダンバラ団長はガチで強かったそうです。ちょっと意味が分からないくらいに強かったそうです。そうでなければ天空船も占拠されませんよね。


 これが大体17年前の話です。


 ええ、実話です。僕の生まれる前の事です。


 この時の英雄達が天空船に招待されたそうです。まぁ殴り込みをかけてる時点で天空船に入ってますけどね。

 

 それくらいの活躍をしないと天空船にお呼ばれ出来ないのです。


 ……むぅ。意外と厳しいのです。


 あとは……世界ウルトラスペシャルクイズ大会に参加して天空船で行われる決勝まで残るとか、天空船で行われるロボットバトルチャンピオントーナメントに出るとか……搦め手しかないのです。


 ……わりと不可能です。


 ちょっと舐めてました。


 クイズ大会は普通に無理です。レベルが違いすぎます。僕の頭脳では地区予選も無理でしょう。頭脳に特化した相手とクイズバトルなんて勝負にもなりません。僕も実は脳筋タイプなんですよね。


 で、ロボットバトルは…………あるぅえ? 


 …………うん。


 これですね。




 ちょこっと裏話。


 この物語の最後に人物紹介を載せてあります。そこに色々載ってるのでここでは無言を貫きたいと思います。


 あ、勇者達の人物紹介は無いっすよ?


 物語に出てきてないから当然です。


 ……全く考えてないとか……そういう訳でもアラニコフ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ