お姉さんのショタ観察記4
お姉さーん!
新暦533年 3月5日 三時のおやつ
遺物センター(島役場だよ)の地下から出てきた興奮するジョニー君に捕まり一緒におやつを食べる事になった。
至高神ショターンよ! これはご褒美なのですか!?
正直死にそうです! ジョニー君が鼻息荒くて……私……もう……。
乙女の秘密(伏せ字な。察しろ)が大変です!
しかしこんなときこそ冷静になれるのが『お姉さん』なの。
ジョニー君は所謂『メカオタク』である。発掘士になったのも遺跡からパーツを掘り起こして色々と弄るため、というのが発端らしい。
……パートナーのロボットも実はコアから全て拾い物で構成されてるそうで……ちょっと私も引くレベルでメカマニアである。
ジョニー君は興奮して私の目の前で服を脱いでパンツを振り回す……ような事はしていないけれど、珍しく大興奮なジョニー君である。いつもはクールでドライな彼にしてはすごく珍しい。
私も舌を噛みながら耐えている。本当は今すぐにでもお持ち帰りして『いただきまーす!』をしたい。ほんとにな。手の中には潰れた硬貨が三枚入ってるぐらいには戦っている。
理性と本能と性欲とその他諸々は手強い。
これも『イエスロリータ! ショタも良いよね!』という我らの掟を守るため。
私は愛するショタを守らねばならない。たとえこの身がどうなろうとも。
遺物センター(だから島役場だっての)のすぐ外にある食堂であんみつを食べるジョニー君。ふふふ。黒蜜の付いたプルプルな唇……貪りてぇなぁ。ふふふ。
さて、あんみつをハムスターのようにほっぺを膨らまして、はむはむと食べてる可愛いジョニー君だが、ちょろりと聞いた話によると、彼は島役場で『アンドロイド』に出会ったそうなのだ。
天空船の住人が全て、太古に作られた『アンドロイド』であるのは公然の秘密である。知っている人は知っている。でも知らない人はとことん知らない。そんな感じ。
今のロボットもその体内にはコアがあり、人と変わらぬ『心』があるとされるが、天空船の『アンドロイド』は更に人間に近い存在であるとされている。
見た目は完全に『人』そのもの……まぁ元々『人間』を模して作られたのだから当然ではあるのだが。
ジョニー君はそんな『アンドロイド』に遭遇して大興奮してしまったようだ。
天空船からやって来たアンドロイドのお姉さんに『中、見せて!』と言ったとか言わなかったとか。まぁ言ったんだろう。本人もそう言ってるし。
……私も言われてみたいけど……絶対に鼻血噴いて死ぬ。
そんな死に方もアリだとは思うが……その前に個人端末のデータを処分しないと色々とアカン。
私の秘密はどうでもいいか。問題はジョニー君とアンドロイドである。
天空船のアンドロイドも『初なねんね』ではない。最低でも五百年は生きている化石のような存在だ。一人の幼いショタが興奮して変な事を口走ったとて、本気にはするまい。
……一方のジョニー君はかなり本気になっているが。
ジョニー君は『絶対に天空船に行って、あのお姉さんの中身を見せてもらうんだ!』と鼻息荒く宣言しているのだ。あんみつを食いながらな。
……私も言われてぇな。中身を見せてって。言われなくても全部見せちゃうのになぁ。
どうやら天空船から来たアンドロイドはジョニー君に『私が欲しければ天空船までいらっしゃい』と抜かしたようだ。
……ハードルたっかー。そしてなんて大人な対応。
メカオタクのショタを完全に手のひらで転がしてやがる。
天空船はこの世界の中枢。おいそれと訪ねることも出来ない場所だ。観光なんて、もっての他。
どうやらアンドロイドのお姉さんなるものはジョニー君を軽くあしらったようだ。大人だな。
しかしジョニー君は本気で天空船を目指そうとしている。
私を連れてあんみつ食堂にランデブーしたのも『どうしたら天空船に行けるか』を私に聞くためだったのだ。
……いいけどね。頼りにされてすごく嬉しいし。
私と結婚すれば天空船に行けるわよ……と言いたいが、私のコネをフルで使っても不可能だ。天空船とは『そういう場所』なのだ。くそっ!
とりあえずジョニー君には天空船にお呼ばれする条件を幾つか教えておいた。どの条件もあまり現実的ではない。というか不可能に近いのでジョニー君も諦めるだろう。
……くくく。
そして落ち込んでいるジョニー君を慰めるのがお姉さんたる、わ・た・し!
至高神ショターンよ!
我に力と栄光を与え給え!
ショタの黒蜜唇を貪らせて下さい! そして行けるところまで……行っちゃいたいです!
……あ、今日はベージュだ。
くそがぁぁぁぁぁ!
同日 夜
……不味いことになった。
ジョニー君とヒロインちゃんが争っている。激しい喧嘩をしているのだ。
……正直二人には別れて欲しいので、とりあえず静観することにした。詳しくは明日調べる事にする。
……いや、私にもやることがあるので。
……いや、別にジョニー君の唇や汗を拭ったハンカチをどうこうするつもりはない。
……三枚あるから一枚を使おうとか思ってなんか……。
……今日の報告はこれまで。
人間には我慢の限界というものがある。あえて限界に挑戦するのは如何なものかと私は思う。
すーはーすーはー。
人はそこそこの範囲で生きるのが適正なのだ。
すーはーすーはー。
至高神ショターンよ! これは素晴らしいものだ!
すーはーすーはー。
お姉さんの観察記は報告書でもあります。
つまりそういう事なのよ。