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アウトロー アラカルト

 説明回です。読まなくても物語に影響は……あんまりないかな。


 ここにアウトローの紹介文献を幾つか上げておく。各自読んでアウトローへの理解を深めると良いだろう。




『アウトローちゃんとお呼び!』


 

 ここは南国のバラダン島。いつもぽかぽか心優しい人達が住んでいる平和で小さな島です。


 この島には沢山の生き物がいます。生き物ではないけれど、みんなと同じように仲良く暮らしている人達もいました。


 彼らは機械生命体といいました。とってもメカメカしくて頼もしい人達です。


 島の人達は機械生命体の人達と仲良く暮らしていました。


 ある日の事。


 島の海岸に見慣れない機械生命体が現れました。その子は集まった島の人達に『アウトローちゃんとお呼び!』と言い放つと有無を言わさず襲い掛かったのです。


 平和な暮らしをしていた島の人達はみんなアウトローちゃんに脇腹をくすぐられて砂浜に倒れていきました。


 その姿はまるで砂浜に打ち上げられたクジラさんです。


 砂浜に立つものがいなくなると、アウトローちゃんは満足してお昼寝を始めました。


 島の人達は悩みました。


 このままアウトローちゃんを野放しには出来ない。


 倒れるまでお腹こちょこちょされると次の日が筋肉痛で大変なのです。


 島の人達はアウトローちゃんを沖にあるスペースシップの遺跡へと封印することにしました。


 島の人達もたまに遊びにいくアスレチック施設です。これならアウトローちゃんも遊びに夢中になるだろうと。


 多くの犠牲を払いながらアウトローちゃん誘導作戦は進んでいきました。


 みんな頑張りました。こちょこちょされながら頑張ったのです。


 そしてついにアウトローちゃんを遺跡に封印することが出来たのです。


 アウトローちゃんも初めて見る遺跡に夢中になりました。


 こうしてみんな幸せになったのでした。



  『児童用アウトロー教冊絵本』より抜粋。






『アウトロー教育ポスター四月版』



 一人見たら二十人。アウトローを舐めたらアカン!


 アウトローは基本的に群れで生活しています。はぐれアウトローを見かけても決して手を出してはいけません。仲間がどこからか、わらわらと現れます。囲まれたら最期。こちょられます。



 そんなとこにもアウトロー!?


 アウトロー達が街中に入ってくることはありませんがアンチアウトローフィールド(AAF)の外に出るときは要注意!


 木の上で遊んでいたり寝ていたりします。外に放置されたバケツは高確率でアウトローが潜んでいます。遭遇したらその時点でアウト。こちょられます。

 


 可愛い顔してアウトロー。


 アウトローは遠目で見ると和むレベルで可愛い生き物です。砂浜で棒倒しをして遊んでいたり、森では蝶々を追いかけていたりします。


 でもアウトローの索敵範囲に少しでも入ると彼らは豹変して襲い掛かってきます。そうなるともう手遅れ。こちょられます。



 倒すことはできる。でも覚悟して。


 アウトローを倒すとお金がもらえます。でもそれは立派な犯罪です。人殺しをして生活をするという覚悟が無ければ止めましょう。復讐なら止めません。存分に恨みを晴らすと良いでしょう。ハンターになりたい人は先生に相談してね。



 最後に。


 アウトローに襲われた人は、みんな心に傷を負います。襲われた事のない人はその苦しみが分からないと思います。なので一度は襲われることを推奨します。同じ苦しみを味わう事で、みんな仲良くなりましょう。



   とある学校に貼り出されたポスターから抜粋。






『伝説のハンターに聞きました』



 あれは俺が三才の誕生日を迎えた時の話だった。


 当時、俺の家は大富豪だった。それこそ世界の富を手中に納めたと言っても過言ではないレベルで金持ちだったらしい。


 ま、今は没落しているから俺には全く関係の無い話になるがな。


 金があると人は傲慢になるらしい。俺の親も例外ではなかった。


 わざわざ海に船を並べて豪華な誕生日パーティーを開いたんだ。俺の為じゃない。自分達の自慢の為だ。当時の俺は病弱だったからな。船には乗らず島の病院の窓から光輝く海を見ていた。


 豪華だったな。海の一部が昼と見紛うばかりに光輝き、そこに新たな島が生まれたんじゃないかって思った。


 当然、子供心に『あれは不味くない?』と思ったのも覚えている。


 そしてそれは現実となった。


 篝火に引き寄せられる蛾のように。


 やつらが暗い海から愚かな獲物を食らいにやって来たんだ。


 船は全部沈んだよ。あっさりと沈んだ。


 パーティーに来ていた連中の阿鼻叫喚の笑い声が遠く離れた俺の病室まで聞こえた気がした。


 この事件で百名以上が溺れて死んだ。


 賠償金やら慰謝料でうちの財産は全て消えた。俺の親も消えた。


 ああ、誤解するな。俺の両親は逃げ延びて生きていた。純粋に逃げたんだ。全てからな。

 

 俺は天涯孤独の無一文となり病院から追い出された。俺がハンターになったのは私怨でも復讐でもない。ただその日その日を暮らしていく為にそれしかなかったからだ。


 今の俺はその延長線の先にあるだけだ。史上最高のハンターなんて謳われているが実態はそんなもんだ。


 確かにハンターは儲かる。でもお勧めはしない。ハンターなんて命知らずのやる仕事だ。


 理由が無ければ止めておけ。


 復讐するなら数回で恨みを晴らすことだ。返り討ちにされる前に。


 いずれ必ず返り討ちにされる。必ずな。



 『よいこの職業案内ハンター編』より抜粋。






『あたちはアウトロー!』



 あたちは素敵なアウトロー。いつもコロコロしているのー。


 あっちをコロコロ。そっちをコロコロ。今日はみんなで海水浴なのー。


 お砂をコロコロー。


 海でちゃぷちゃぷー。


 はふー。日差しがマブいぜ!


 あれ?


 あれれれ?


 か・い・じ・ん・発見!


 ひゃっはー! てめぇら狩りの時間だぜー! あいつらをくすぐりまくって足腰立たなくしてやんぜ!


 俺達ゃアウトロー!


 てめぇら傀人の尊厳をことごとくぶっ壊してやんよぉぉぉぉ!





 あたちアウトロー。お仕事終わったから海で遊ぶのー。


 波にちゃぷちゃぷ。


 砂浜コロコロ。


 はぅ? 砂に……はまったー。誰かー。たちけてー。コロコロしてると埋まっていくのー! 貝殻がごりごりすゆー。


 はふー。お友達がたちけてくれました。


 まてー! 感謝のコロコロを受けゆのらー!


 今日もいっぱい遊びましたー。



 『アウトロー。アテレコ当てたらこうなった』より抜粋。

 






『アウトローとダンバラ団』



 かの忌まわしき組織ダンバラ団にも、たったひとつだけ世の中の役に立っている事業がある。


 それは『こちょこちょ更正プログラム』と呼ばれるものだ。


 全ての傀人は死ぬまでに少なくとも一度はアウトローに襲われる。


 多くの者は多大なショックを受けるだけで済むが、極一部の者は『覚醒者』として新たな扉を開いてしまう。こうなると自らアウトローに襲われに行くハイレベルな変態になってしまうのだ。


 あの快楽をもう一度、もう一度と。それは麻薬にも似た依存性、常習性があるという。


 ダンバラ団はそんな『覚醒者』を捕獲して治療に当たっている。この特殊な病は完治させるのが非常に難しい。ダンバラ団はその変態ベクトルを別の方向に向けさせる事で覚醒者達の社会復帰を目指しているのだ。


 具体的に言うと新たな性癖の開発だったり、新たな趣味の発掘だったりと、本来であればあまり看過できないものだ。


 だがそれでも『覚醒者』よりはマシとして世間に受け入れられている。


 必要悪としてのダンバラ団はこうして世間に存在を許されているのだ。


 だから……ある日突然父親がセーラー服を着て朝食を食べていても……深く追求しないのが一般家庭のマナーである。


 笑ってはいけない。


 突っ込んでもダメだ。


 セーラー服パパの向かいに居るのがボンデージ姿の女王様(母親)でも耐えねばらん。


 朝食風景がカオスすぎて家庭崩壊にしか見えないが、これでも『覚醒者』であるよりはマシなのだ。


 ダンバラ団の功績を認めるのは業腹だ。しかしダンバラ団によって救われた者がいることは事実。それは厳然たる事実なのだ。




 ……俺は耐えきれずに家出したがな。


 

  『とある男の回顧録』より抜粋。

 



 アウトローちゃんはこの物語のマスコットですからね。ここで魅力をアピールなのです。


 

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