6話 軍事駐屯地
なるべく百合子目線。
アサルトライフルを構える大男には、見覚えがあった。
軍事駐屯地のリーダーの元上官シュウヘイ師団長だ、40代後半だったはず、目の横にナイフ傷がある。私より背が高く、格闘技術もある。
「君は、百合子君か?無事だったか?」
「はっ、お久しぶりです、シュウヘイ師団長も、ご無事でなによりです。」
百合子は敬礼する。
シュウヘイは返礼しながら、
「堅苦しい挨拶は無しにしよう、もう戦争どころではないだろうし、今は、生き残る事を優先したい。総一郎君と、こちらのふたりは?」
総一郎は挨拶し、ジゴロウとユキを紹介する。
「ご覧の通り見晴らしは良いので、狙撃手だったカオルコ君から訪問者の伝令を受けて、門の所で待っていた。」
カオルコは同期で同い年の狙撃手だった。生きているのはうれしいが、同期は元々5人だった。
他には軍事駐屯地関連の人が30人くらい、あとは近所の人たちで、命からがら逃げてきた人達、どちらにも獣人、半獣人がいる。
もう、軍事駐屯地内のうつろな目の人たちは、シュウヘイたちにより制圧されていた。
かつての同僚や知り合いが居たものの、無差別に人を襲う以上、やむを得なかったのでしょう。
駐屯地の一角を掘り起こし、死者を弔った。獣人になってるとはいえ、名札があるので、思い出に浸りながら土をいれていった。
シュウヘイ師団・・シュウヘイさんの指揮の元、備蓄食料の配給や宿舎で避難民が住めるようにする事やバリケードの増設等の安全確保を執り行った。
軍事駐屯地内の建物としては、作戦本部棟、発電施設、宿舎、研究施設、訓練場、車庫にはジープ、トラックが数台、ガソリンが心許ない。施設としては、小規模な方だった。
まだ日が沈んでないうちに、情報交換がしたい、とシュウヘイさんに呼ばれたので、光一郎は総一郎さんに預け、作戦本部棟で話をした。
シュウヘイさんが先に語る。
「わたしは元々ここに住んでいる、ちょうど外にいたら、西の空からおかしな色になっていって、雪が降ってきたと思ったら、部下たちがパニックになっていた。あとは、会話が成り立つものたちと、駐屯地を制圧した。」
次は羊の角が生えた農家のおばさん。
「あたしなんか、こんなわけのわからない状態になって、亭主は死んじまって、なんとか娘連れてここまで来たんだよ、そういえば、熊みたいに大きな鼠がいたね、動物にも影響あるんじゃないかい?」
整備士タサクは不機嫌そうに話す。
「空が使えない、ヘリも戦闘機も飛んでないみたいだし、あとは電波も送受信に返事がない、発電機も時間の問題かも知れんなぁ。」
百合子は市街地の有り様と特殊な感覚を説明した。
シュウヘイが手相でも見せるかのような動作で風の塊を作る。
「ひょっとして、これか?」
タサクとおばさんは、後ずさるが私は前のめりに。
「それです!私は火なんです、燃えそうでまだ使ってませんが。」
「軍の中にも数人居るが、まだ使わせてない、ひとりでは、やらないほうがいい。それと、動物の異常化のほうが危険だな、一人で駐屯地の外に出ないようにしよう。」
宿舎の一室に帰ると泣いてる光一郎とあやす総一郎さんがいる、色んな事があった、1日だった。
百合子が光一郎を抱くと、だんだん泣き止んできた。ベッドに寝かせようとすると泣くので、完全に寝るまでは抱いててあげようと思う。
翌日以降、私は自警団として、農作業の警備を任された。
総一郎さんは、光一郎の世話のかたわら、ジゴロウさんに合気道を習っている、ユキちゃんも一緒に。
モチは駐屯地内で放し飼い状態になってる。
5日が経つ頃には、うつろな目の人を見かけなくなった、きっと生命維持が出来なくなったのでしょう。
一週間が過ぎた頃、二人入れて欲しいとやって来た、一人は、農家出身の人で、ずっと家に閉じ籠って、食べるものが無くなって、餓死するくらいならと飛び出してきた青年です。
もう一人は、軍服を着た、黄と黒の縞模様が虎を彷彿とさせる小柄な半獣人、名はコハク。私の2つ下の後輩で、
以前、私に告白し、私はハッキリと断った人だ。
これからも、専門的な事があると思いますが、温かい目で見てください。