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ミーティアライトのいたずらよ  作者: ヒジカタアルジ
1年目~5年目
4/19

4話 出来る事、出来た事。前編

これも総一郎目線、三人称が難しい

車で市街地に入った時に、僕は言う。


「ごめん、百合子さん、きっと全員を助けながら軍事駐屯地までは行けない。」


少し表情が曇る、なぜなら、


百合子は、国を護りたい一心で入隊した。だからこそ、こんな不測の事態で町のみんなを救いたいと願うだろうけど、


僕は百合子を守りたい、例え打算的だと言われたって、でも。


「でも、助けれる命なら助けよう。」


表情が晴れた。


「はい、そのための服ですので。」


助手席から見て、ひどい有り様だと思う。


無造作に倒れている人、獣人とうつろな目をした人の争い、窓や玄関を閉め籠城する人、もし、ここで車を止めようものなら、四方八方から襲われるだろう。


諦めて、市街地を抜ける事を決心する。


だんだんと静かになってきた。


畑に差し掛かったときに女の子の声が聞こえた。


少し開けた場所だったので車を止めた、警戒しながら車を降りる。


市街地の路地から女の子が出てきた、もんぺ姿でおかっぱ頭だけど、


人間じゃない、耳が側頭部に付いてる、獣人?


「助けて!おじいちゃんが私を逃がすために怖い人たちと戦ってるの。」


理性がある。


理性のある獣人もいるのか?


百合子が女の子と目線を合わせながら声を掛ける。名はユキと言う。


「あなたのことも気になるけど、まずは、おじいさんの所へ案内して。」


「こ、こっち、おねがい。」息を切らせながら来た道を走って戻る。


女の子、百合子、光一郎を抱えた総一郎の順で路地を通る。


路地を少し進んだ所で道場の裏手にやってきた。この路地を守るように、胴着を着た老人が立っている。


「ユキ、どうして戻ってきた!?ん、あんたがたは、正常なのか?」


痩躯の老人のどこにそんな体力があるんだと言わんばかりに、もう何人もの人が倒れている。


後から聞いたが、御年72歳とは思えない動きで、獣人、理性のなくなった人を捌いている。


先の先を見抜き、相手の重心をずらしていなす。頭で分かっていても、そうそう出来るものではない。


さすがに体力の限界か、片膝をついた。


老人に襲いかかる獣人がいたが、百合子の方が速い。


百合子の前蹴りで獣人が吹っ飛ぶ。


ボクシングのような構えで様子を窺う


百合子のファイトスタイルは軍隊格闘術で、打撃、絞めに加えて、あらゆる状況化でも敵を制圧する技術。ナイフ、銃、ただの竹箒でさえ、武器になりうる。


視界に写るのは、あと二人。うつろな目の青年と牛の角が生えた太った獣人。


「総一郎さん、おじいさんをお願いします。」


視線は敵を見据えたまま、百合子は 軍用手袋を着けながら言う。


老人の弧の動きに対して、百合子は直線的だ。


青年が右腕を振りかぶって来るのを左ストレートで距離をとって、後ろ回し蹴りで倒す。


牛の角が生えた獣人も動きが素人なのか、ステップで軽くかわし、左右フックのコンビネーションから、両手で両角を握り、飛び膝蹴りをかます。


実に鮮やかだ。見とれている場合ではなかった。


「おじいさん、路地の先に車を置いてます、そこまで、」


肩を貸そうとしたが、光一郎も抱えているのでうまくいかない。


「ユキちゃん、この子を頼めるかな」


「あ、はい。」


きっと弟か妹が居たのか、だっこの仕方がちゃんとしている。


今度は、先に総一郎と老人、次に光一郎を抱えたユキ、殿(しんがり)を百合子が務める。


路地を抜け、車が見えたことで油断した、皮膚が鱗になったトカゲの顔をした女が噛みつこうと襲ってきた。


百合子はまだ間に合わない。

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