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ミーティアライトのいたずらよ  作者: ヒジカタアルジ
1年目~5年目
15/19

15話 ガールズトーク秋から冬へ

コハクの暴走は7月、冒頭は10月くらい。そこから冬ですね。

右目は包帯で隠しているが、左目は3ヶ月掛かって、うっすら見えるようになってきたサトルはコハク、シュウヘイ、食堂に居た人達、自警団の面々、一人一人に頭を下げに行った。


嫌味、暴言も言われたが、その後の献身的な働きもあって、次第に和解へと繋がった。


秋から冬へと季節は流れ、雨が降ったり止んだりな曇り空が続いたある日。


修繕が終わった食堂の角のテーブルにコハク、カオルコが隣に並び、対面に百合子が座る。


「ワタシは総一郎とライバルだから!」


「なんのライバルですか?」


「もちろん、百合子さんのです。」


コハクのライバル宣言に呆れる百合子だが、明るくはっきり自慢するコハクは、全くめげない。


さらに、からかう余裕さえ出るほど一回り大きくなった自信は。


「でもぉ、なんだか総一郎を好きにな」


フォークがコハクの頬をかすめ、コンクリート壁に突き刺さる。


「続き次第では眉間に刺さりますが、どうしますか?」


「なりません、なりません!助けて、カオルコ先輩。」


束の間の挫折とともに小さくなり、


カオルコに抱きつきながら怯える。


「・・・・鬼百合。」


「カオルコ!何か言いましたか?」


「ひぃぃ、なにも言ってません。」


ふたりで抱きつきながら怯える。


「ふぅ、全く。それはそうと、コハクはサトルを許せましたか?」


腰に手を当て、話題を変える百合子。


「許せたというかなんというか、ワタシは記憶にないのに、一方的に謝られても困るというか・・・まぁ悪い奴じゃないし、近くにいると、身長差で首が疲れるというか・・・」


カオルコの頭上に豆電球が点灯する。


「はっはーん、なるほどなるほど、つまり、コハクちゃんは、サトルンに恋をしたというわけですな!」


トラ耳まで赤くなるコハクは全力で否定する。


「ち、ちがーう!」


「あらあら、そうなの?」


百合子も便乗するが、コハクが矛先をカオルコに向ける。


「カオルコ先輩こそ、誰か居ないんですか?」


「あたしゃ、ほら独りの方が楽っちゅーか、いい男がいないっちゅーか?」


カオルコも慌てて矛先を変える。


「ユ、ユッキーは、どーゆー人が好きなの?」


14歳になったばかりの熊の半獣人ユキ。


ユキは料理が好きで食堂のお手伝いをしている、おかっぱ頭の間から丸い耳がピクっと動いて百合子達の所に来た。


「何か、言いましたかー?」


「ユキの好みのタイプはどうなのかなーって?」


好みと聞かれてもいまいちピンとこないが、これだけは外せない一個をはっきり答える。


「うーん、いっぱい食べてくれる人!」


「おかわりっ!」


少し離れた所でご飯を食べていたタカモリがユキにお茶碗を渡す。


「はいっ!」


ユキはご飯大盛りでタカモリに渡す。


その様子を見ていた3人の頭上に豆電球が点灯する。


外も一瞬光った。


「んわ!なんだなんだ!」


カオルコが真っ先に声を上げる。


「この光は総一郎さんですね。」


「今、外で異能力披露大会やってるみたいですよ、自分は抜けて来ましたが。」


タカモリ君の言葉にそれぞれが反応する。


(なにしてるんだか?)と百合子。


(楽しそー。)とカオルコ。


(サトルもいるかな?)とコハク。


それぞれの想いを胸に3人が食堂から出ていく。


見に行くと、狼の獣人と熊の半獣人が相撲を取ってる。


囃し立てる周りを見て呆れる、百合子。


一緒に騒ごうとする、カオルコ。


サトルが居なくて残念な、コハク。


三者三様な胸中はさておき、久しぶりに晴れてきた。


同日。


医務室でトワコはカルテを見ながら、後輩に質問されていた。


「どうなんですか?まだ日も浅いですけどサトル君でしたっけ?」


「まぁ筋は良いんじゃないか、両親ともに医者で本人も手伝ってたらしいし、基礎は出来てるよ。」


「トワコさんにしては、好評価ですね、かっこいいからですか?」


丸めた紙で後輩の頭を叩く。


「ばかやろう、20も下に唾なんか付けるか!おまえと違ってサトルには信念があるから物覚えが早いだけだ。」


後輩は叩かれるのがわかっているが避けずに受け止めつつ。


「あたっ、はいはい、私も信念持って仕事しますよぅ。」


トワコはタバコを吸いに外に出ると、騒がしい男どもの中心に居る人物に視線を向ける。


風の力を使い、高く跳んでいた。

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