仲間
「見~つけた」
「ヒィ!」
俺は自動販売機の脇から飛び出てホームを走る。
駅の金を頂こうと計画、駅のトイレの天井に潜り込み最終電車を見送った駅員が宿直室に引っ込んだ深夜、這い出てきて計画を実行に移そうとした。
それなのに、深夜の駅がこんな化け物共の巣窟だったなんて。
自分の首の長い髪を鷲掴みにして近寄って来る首なし女。
「俺の手足を探してくれ」と言う、全身が血塗れで手足が無いオッサン。
「お兄さん、一緒に遊ぼうよ」と言いながら、自分達の目玉でお手玉をしている子供達。
そんな奴等に追いかけられ、俺は必死に駅舎の中やホーム上を走り逃げ回った。
始発電車がホームに入って来るのが目に映り、俺はそちらに向けて走る。
「あ!」
逃げ続けて疲労していた足がもつれ、俺は始発電車の前に頭からダイブ。
ダイブした俺の耳に、「貴方も今日から仲間ね」って言う女の声が聞こえていた。