そしてとても仲良くなった朝
次の朝。
温かい温もりに包まれて目を覚ます。
シャーロットは素肌同士が触れ合う気持ちよさと、素肌同士が触れ合う恥ずかしさでほこほこと顔を赤くしていた。
こ、これはこの後ってどうしたら良いのかしら……。
夜着はベッドの下にあるけど、取りに行ったらシーツから体がはみ出しちゃう。
ライリー陛下がまだぐっすりと寝ていてくださればいいのだけど、ライリー陛下におしりを向けて服を取りに行っている時にお目覚めになったら、とても間抜けな格好を見られてしまうのではなくって?
モゾモゾとベッドの中でシャーロットが動くと、ライリーも目を覚ました。
「おはよう。シャーロット」
とびきりのキラキラ笑顔をシャーロットに向ける。
シャーロットは、やっぱり夜着を取りに行かなくて正解だったと胸を撫で下ろした。
「ライリー陛下、おはようございます」
シャーロットは体を隠すようにシーツを抱き込む。
ライリーは昨夜のシャーロットを思い出して、ボボボっと顔を赤くした。
「えと、あの、体は大丈夫?」
シャーロットも負けじと益々顔を赤くする。
「え、ええ。健康そのものですわ!」
違う。
オレが聞きたかったのはそういうことじゃない。
と思いつつも、ライリーは天然シャーロットを見つめてにっこり笑った。
ライリーはさっとベッドから降りると、夜着を拾って身につける。
「ライリー陛下、私の夜着も、その、あの、取ってくださると嬉しいです……」
シャーロットはライリーに声を掛けるが、はっと自分の夜着がどうなっているか覚えておらず、それを取って欲しいと言っていいものか迷い、最後は小声になっていった。
「ん? ああ、シャーロットはそのままでいいよ。バスタブにお湯を張ってくるから、ゆっくり待ってて」
ライリーはそう言いながら簡単に下だけを履いてバスルームに消えて行った。
シャーロットはうれしはずかしな面持ちで、ライリーの消えていった扉を眺める。
とうとう、本当の意味での夫婦になったのだ。
しばらくの後、ライリーは寝室に戻ってくると、シャーロットをシーツごと横抱きにしてバスルームへ向かった。
「ラ、ライリー陛下、あの抱っこしていただかなくても歩けますわよ?」
「うん。そういう問題じゃないんだ。オレが、シャーロットを歩かせたくないんだ」
バスルームは換気の為に少し窓が開けられていたが、ちゃんとカーテンが引かれて外からは見えないようになっている。
もちろん、カーテンがなくても王妃の使うバスルームが覗かれるような所には建っていないのだが。
ライリーはバスタブまで来ると、たっぷりのお湯とシャボンで溢れかえるその中に、シャーロットをそっと降ろした。
シーツと自分の履いていた下着を浴室の棚に掛けて、ライリーもバスタブの中に入って行った。
泡あわのお風呂の中で、ふたりは向かい合い、にっこりと笑い合う。
「あら、ライリー陛下。鼻の頭にシャボンが付いていますわ」
「え、どこ?」
「もう。そこではありませんわ。ここです」
シャーロットがそっと手を伸ばし、側にあったタオルでライリーの鼻を拭く。
その瞬間、少し開けていた窓から風が入り、バスタブの中のシャボンが宙を舞った。
シャボンは陽の光を浴びて、七色に輝きふたりの上に降り注いだ。
「まあっ! 見てくださいませ、ライリー陛下。まるで虹が掛かったようで、結婚式を思い出しますわね」
「ああ、あの日の虹はとても大きく、とても美しかったな」
ふたりは宙に舞うシャボンが全て落ちるまで、仲良くバスタブに浸かりそれを見ていた。
当然のことながら、ふたりしてのぼせて、ぐったりしているところをジュディに怒られるのだった。
その後も、とても仲良くしていたふたり。
シャーロットのお腹に、天使が舞い降りるのはすぐのことだった。




