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人質姫と忘れんぼ王子 番外編  作者: 雪野 結莉
IF フレッド様の人質姫
29/37

4章 2

 穏やかに、穏やかに日々は過ぎて行く。


 フレッドとシャーロットは、すでにお互いなくてはならないパートナーとなっていた。

 側で見ているコーディやジュディは、じれったい気持ちを抱えていたが、黙って見守ることにしていた。



 そんなある日、建国際が近付き、式典で使うものを確認するため、フレッドがシャーロットと宝物庫に足を運んだ時のこと。


「シャーロットちゃん、王笏、宝剣、間違いなく確認したよ。明日までには磨いておいてもらえれば、建国祭に間に合うね」

「そうですわね。マントもクリーニングから明日上がって来ますし、式典はこれで大丈夫ですわね」

 二人で式典に使うものを確認し、宝物庫を出ようとした時に、フレッドが棚の横を通りかかると、触れてもいないのに一つの箱が棚から落ちた。

 落ちたのはベルベットのリングケースで、中から指輪がコロコロと転がり落ちた。


「あれー? 触れてないと思ったんだけどぶつかったのかなあ。ごめん。傷でもついてたらどうしよう…」

 フレッドは屈んで指輪を拾い上げようと手に取った。

 指輪がフレッドの手の中に収まった瞬間、その指輪は眩いばかりに光出した。


「うわぁっ!」

「フレッド様!!」

 光がおさまり、手の中の指輪を見ると、色が鮮やかな虹色に変わっていた。


「シャーロットちゃん、この指輪って」

「はい。即位の時に神官長様からお預かりしたものです。伴侶との婚姻が結ばれるまでは、大事にしておくようにと言われて、宝物庫に仕舞っておりました」

 二人は顔を見合わせる。


「は、伴侶がいないというのに、指輪が七色になってしまいましたわ……私、一生独身なのかも……」

「オレが落っことしたから、指輪が変色したのかも……」

 二人は顔面蒼白である。


「シャーロットちゃん、すぐに大神殿に行こう! 神官長に事情を話して、もう一度指輪をもらえないか聞いてこよう!」

「そ、そうですわね。もう一度指輪をいただければ解決いたしますわね」

 二人は転がり出すように宝物庫を出て、大神殿の神官長に謁見を申し込んだ。



 急な謁見だったため、神官長の執務室に二人は通された。

 執務室内の長椅子に二人は並んで腰掛け、向かい側に神官長が座った。

「神官長、悪いが人払いをお願いできるだろうか」

 フレッドが青い顔でそう言うと、神官長は何かを悟り、人払いをする。


 部屋の中には、三人以外誰もいない状況になったのを確認して、フレッドが重たい口を開く。

「実は、シャーロット陛下の即位の時にお預かりした指輪を、わたしの不注意で落としてしまい、拾った途端に指輪が虹色に変わってしまったのだが……。もう一つ指輪を都合してもらえないだろうか」

 フレッドはいつになく真剣で、いつもの砕けた口調ではなく、完全仕事モードで神官長に話しかけた。


「ほう。王の指輪を落とし、拾ったら色が変わったと。どれ、見せてごらんなさい」

 白い髭を顎に蓄えた神官長は、フレッドから指輪を受け取った。

「確かに、虹色に変化しておる。フレッド様、シャーロット様、申し訳ありませんが、この指輪は即位の時、一度しか作ることを許されておりません。同じものをもう一つ造ることは不可能ですな」


 シャーロットはふらっとその場に手をついた。


「そんな……。もう指輪をいただけないなんて……。私はやっぱり一生独身……」

「シャーロットちゃん! 気をしっかり持って! オレがなんとしてでも指輪をどうにかするから! ちゃんと、シャーロットちゃんが伴侶と添い遂げられるようにするから!」

 フレッドがシャーロットの肩を抱いて慰める様子を、神官長は微笑ましく見ていた。


「では、婚姻式はいつにしましょうか」


 神官長がニコニコと笑ってこちらを見ているが、いくらオレがなんとかすると言っても、そんなにすぐに伴侶が見つかるわけないじゃないか!! とフレッドは心の中で絶叫した。

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