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人質姫と忘れんぼ王子 番外編  作者: 雪野 結莉
IF フレッド様の人質姫
28/37

4章 1

 バタバタとした日常が過ぎ去り、ボナールにまた平和な日々が訪れる。


 シャーロットは国内の改革に勤しみ、フレッドもまた、影になり日向になりシャーロットを支えていた。



 シャーロットが城の庭園をガゼボから見ていると、フレッドが急いで走ってくる。

「シャーロットちゃん、前に掛け合わせの講義を聞いたろう? あの後掛け合わせをしてみたんだけど、花が咲いたんだ。白金の花びらに、すみれ色のグラデーションが入った花なんだ」

 息を切らしてフレッドが言う。

「まあっ! 本当ですの? 是非見せてくださいな」

「もちろん! こっちだよ。早く早く!」


 フレッドにしては珍しく、子どものような笑顔でシャーロットの手を引き走る。

 いつも走り回っているシャーロットだからこそ、ついて行ける速度だ。

 世の貴族のお姫様なら、ついて行けずに転んでいただろう。

 もちろん、フレッドはシャーロットが転ばないように気をつけて走ってはいたが。


 庭園の一角に、フレッドはシャーロットを連れてやってきた。

「見て、シャーロットちゃん。これだよ」

 少年のように光り輝く笑顔で、フレッドは花を指差す。


「まあ……。信じられないくらい綺麗……」

 フレッドが指差したのは、花びらの中心から外側にかけてすみれ色から白金へとグラデーションされた花だった。

「フレッド様、こんな色合いのお花、見たことありませんわ。お花の名前はなんと付けましたの?」

 フレッドは嬉しそうに答える。

「シャーロットっていうんだ」

「え?」

「シャーロットちゃんを思って掛け合わせた花なんだよ。オレの、我が国の女王様シャーロット。花の名前は作る前から決めていたんだ」


 白金の髪に、すみれ色の瞳。

 フレッドは思った通りの花が咲き、とても満足していた。

 だから、シャーロットが狼狽えるのが予想できなかったのだ。


 シャーロットは頬を赤く染めて、じっとフレッドの瞳を見つめていた。

「あ……!」

 やっと、シャーロットが顔を赤くしている意味を知る。

「いや、ごめん。勝手に名前をつけられて、困っちゃうよね。違う名前を考えるから、ちょっと待ってて」

 どっと出てきた冷や汗を拭きながら、フレッドも自分のしたことの恥ずかしさを思い知り、顔を真っ赤に染めていた。


 シャーロットはそっと、フレッドの服の裾を掴んだ。

「いいえ。いいです。他の名前なんて、考えないでください。とても嬉しいです。この花の名前は、シャーロットというんですね」

「……シャーロットちゃん」


 二人は同じくらい顔を赤くして、同じように照れて笑った。





 その日の夕方、シャーロットは日課のお祈りを捧げに大神殿を訪れていた。

 王城の敷地内にある神殿にお祈りに行くのは、即位してからのシャーロットの日課だった。


 いつものお祈りをした後、地下に眠っている父と母に報告をするように、小さな声で呟いた。

「お父様、お母様。今日は嬉しいことがあったんですの。フレッド様が、私をイメージしたお花を咲かせてくださったんですのよ。この前、エリシアから技術交流した成果が出て、とても嬉しいです。そして、その新しいお花の名前に、私の名前をつけてくださったのです。愛おしげに"シャーロット"と口にされたフレッド様に、嬉しさのあまりドキドキしてしまいましたわ」


 ふふっと、一人で笑い出した時に、目の前を光が横切ったような気がしてあたりを見回すと、天窓から夕焼けの空が見えた。

 気のせいかもしれないが、その空には薄っすらと虹が掛かっているような気がした。




 *****************



 すみません。

 配分がうまく行かず、最終章はとても短く、4話の予定です。

 8/3の朝が最終回になります。

 あと少しですが、お楽しみいただけたら幸いです。

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