表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人質姫と忘れんぼ王子 番外編  作者: 雪野 結莉
IF フレッド様の人質姫

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/37

2章 5

 エドワードから、最後にダンスを望まれ、シャーロットは笑顔でそれに応じた。


 シャーロットは笑顔を絶やさず、パーティーが終わるまで、エドワードのパートナーを務めたのだった。




 パーティーもお開きになり、エドワードは迎えに来たのと同じところまでシャーロットをエスコートして来た。


 中庭が見えると、シャーロットは少しホッとする。

 その時、気の緩みからか足元がふらついた。

「おっと、危ない」

 エドワードがすぐにシャーロットを抱きかかえ支える。

「ごめんなさい。少し、飲み過ぎてしまったようだわ」

「では、お部屋までお送りしましょう」

「いえ、ここまでで大丈夫ですわ。今日はありがとうございました。また、明日お帰りの時はお見送りに参ります。道中長いですから、今夜はゆっくりとおやすみくださいませ」

 シャーロットがエドワードの腕から離れようとすると、エドワードはシャーロットの体を引き寄せ、その場で抱きしめた。

「陛下。今夜は帰したくありません。どうか明日の朝まで、わたしをパートナーとして置いてください」

「えっ、いえ、その、それは困ります……」

 断ろうと、シャーロットがエドワードの顔を見るために視線を上げると、どんどんとエドワードの顔が近付いてくる。

 キスをされそうになり、シャーロットが悲鳴を上げるために息を吸い込んだところで、声がかかる。


「エドワード殿、シャーロット陛下をお送りいただきありがとうございました。ここからはわたしがお送りしますので、どうぞお帰りください」

 王家の居住区の方から、フレッドがやって来て、エドワードとシャーロットに近付く。

「今日はわたしがパートナーです。部屋までお送りします」

 エドワードはシャーロットを腕の中から出さずに答える。


 いつも人懐っこい笑顔を浮かべるフレッドは、珍しく無表情で告げた。

「ここより先は王の私室になります。部外者は立ち入ることはできません」

「では、フレッド殿も入れないでしょう」

「いいえ。わたしはこの国の宰相です。元より王の居室まで入ることを許されている身です」


 毅然とした態度でエドワードを拒否するフレッドに、エドワードは小さくため息をついた。

「仕方ありません。では、シャーロット陛下、また明日」

 エドワードが腕を解いた時、フレッドがシャーロットの手を取る。


「シャーロット陛下、お足元に気をつけて。では、エドワード殿。明日はわたしもお見送りいたします」

 エドワードは苦笑いを残し、踵を返す。


 フレッドもシャーロットの手を引き、腰に手をあて、支えるようにして歩き始める。

「シャーロットちゃん、もう少しがんばって。あの角を曲がれば、もうエドワードからは見えないから」

 そして、フレッドが言う建物の角を曲がった瞬間、シャーロットが崩れ落ちた。

 床に転がる前に、フレッドが抱き止める。

 そして、そのまま何も言わずに横抱きにしてシャーロットの私室へと向かった。


「フレッド様、申し訳ありません。重いですから下ろしてくださいませ」

 シャーロットはくったりとしつつも、フレッドの腕から逃れようとする。

「何言ってんの。重くなんかないよ。軽すぎて心配になるくらい。それに、ずっと熱があったでしょ。無理してたんだから、甘えて抱っこされといてよ」

 人ひとりと装飾のたくさん付いたドレスは、それ相応の重さがあるはずだが、ものともせずにフレッドは颯爽と歩く。


「フレッド様、いつからご存知でしたの?」

「うーん。昼間、顔が少し赤かったからかな。あれっと思っていたら、それを誤魔化すようにチークを濃く塗ってるし、足元ふらつくし。具合の悪い時は悪いって言わなきゃダメだよ」

「申し訳ありません……。だから、今日はお酒を召し上がらなかったのですか?」

「シャーロットちゃんは気にしなくていいのー」


 シャーロットを抱えたままドアを開け、シャーロットの部屋へと入る。

「ジュディちゃんは?」

「今日は遅くなるのでもう下がって良いと伝えました。だから、私ひとりです」

 くったりとフレッドに全体重を預け、安心し切ったように寄りかかるシャーロットを、フレッドはなんとも言えない思いで見つめた。


「ごめん。寝室に入るよ」

 そして、もう一つ先のドアも開け、ベッドの位置を確かめると、ゆっくりとそこへシャーロットを降ろした。

 暗い部屋の中は、月明かりだけが頼りだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ