表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

彼氏、彼女。

作者: 多可賀みき

小説というより、詩の形式で書いています。

彼女、ただ黙って、口をアの形で開いたまま、物言わず体育座り。

彼氏、エーっと叫んだまま、仁王立ち。

・・・二人の視線は明後日の方向へ。

二人が出会うのは、いつ?


彼女、魚のように室内をスイスイ泳いでいたのに。

彼氏、ゼンマイで巻かれたおもちゃのようにカタコト歩いていたのに。

・・・二人はやがて、止まる。

二人が動くのは、いつ?


彼女、彼氏の存在を無視し始める。

彼氏、彼女の存在を意識し始める。

・・・彼女は彼氏の視線を避け、それでも彼氏は彼女を眼で追い続ける。

二人が見つめあえるのは、いつ?


彼女、ここが海ではなく、ただの何でもない部屋だと知る。

彼氏、ここにはゼンマイがないことを知る。

・・・二人は何も知らない。

二人が夢から覚めるのは、いつ?


彼女、自分が泳げないことを知る。

彼氏、自分がおもちゃだったことを知る。

・・・二人は絶望する。

二人のご主人様は、どこ?


彼女、ようやく自分が霊長類ヒト科所属であったことに気づく。

彼氏、ようやく自分が霊長類ヒト科所属であったことに気づく。

・・・二人はまたもや絶望する。

二人のご主人様は、どこ?


彼女、何かを探し始める。

彼氏、何かを求め始める。

・・・それでも二人は動けないまま。

二人が探し物を見つけるのは、いつ?


彼女、それが何なのかわかる。

彼氏、それがどこにあるのかわかる。

・・・それでも二人は動けないまま。

二人が自由意思決定権を知るのは、いつ?


彼女、アーアーと、声が出せるようになる。

彼氏、ギイコギイコと、体が軋まなくなる。

・・・二人は自分の意思で歩き出す。

二人が外の世界を知るのは、いつ?


彼女、ようやく彼氏の存在を認めるようになる。

彼氏、彼女が恋しくてたまらなくなる。

・・・二人はようやく、出会う。

二人が結ばれるのは、いつ?


彼女、彼氏を愛している。

彼氏、彼女を愛している。

・・・二人は愛し合っている。

二人がご主人様のもとへ戻るのは、いつ?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ