カウント3人目
それは私が7歳の時でございました。
この時私は運命を感じたのです…!(2回振られている)
その日は貴族の集まる晩餐会を我が屋敷で行なっておりました。
私はまだ社交界にデビューもしていなかったですし、酒豪のお父様の趣向の晩餐会でしたので、成人済みでない方はいらっしゃらない会でした。
開催も遅い時間でしたので、まあ晩餐会とは名ばかりの飲み会を行なっていたわけです。
なので私はもちろん参加できるはずもなく、ですが就寝しようにも話し声や人の居る気配が気になってしまい、全く眠気はなくなっていた時でした、窓から外を覗くと男の子が庭園で遊んでいたのです。
年頃も同じくらいの男の子を見つけた私は、外に出ることにしたのでした。
月明かりのおかげで庭園は明るい気さえしました。
私は、ねえっと少年に声をかけて声を失いました。
月明かりに照らされた少年のなんと美しいことか、黒い髪の毛はキラキラと輝き、彼の金の瞳と相まって、まるで月の使者かと思うような神々しさでした。
呆気に取られた私、でもすぐにいつもの病気が出たのです。一目惚れ。
「あの!わ、わたくしと結婚してくださいませんか!?」
「い…」
「い?」
「いやだーーーーーーー!!!!!!!」
凄い勢いで逃げていかれました。流石に泣きそうになりましたが、何という脚力。晩餐会の会場まで距離があるのに、そのすぐ後に彼は大人たちをぞろぞろと引き連れこちらにやってきました。
とにかく隠れなけばとは思いましたが、体が動かず、私は大人たちに見つかってしまいました。
「親父!こいつだよ!ショタコンの変質者!」
「ジュリアス…こちらの方はノッガー公爵のご息女のクラリス様だ」
「え!?俺こいつと婚約予定だったの!?ぜってーやだ!」
「ジュリアスー!!!?」
何言ってんだお前はふざけんな!!!とばかりに怒るのはドラグ侯爵様。公爵の次の位ではございますが、ドラグ侯爵は父上の右腕。確かに婚約の話があってもおかしくはなかったですわよね。
…すでに振られてますけど。なんならジュリアス様はずっとあり得ないを連発。嫌だ嫌だ攻撃をずっとしていらっしゃいます。
そんな光景に私が無表情で意識が飛んでいるのを見たお父様が、一瞬で酒も何処へやら瞬時に静かに般若の如く怒っていらっしゃるのを尻目に私は部屋へ歩き出しました。
後ろではドラグ侯爵の謝罪とジュリアス様のあんなブスと婚約なんてありえない!という言葉が聞こえてきますが、もう関係ありません。婚約などしないのですから。私は部屋で少し泣きました。
ジュリアス様はそれ以降も10歳頃まで、会えばブスブスと私に言ってきました。トラウマ確定です。
あの声と顔から繰り出されるブスという言葉…
完全に暴力です。
思い出すだけで悔し涙が溢れてきそうです。
イケメンて本当ブスに厳しいですわよね。
そしてとうとう次が最後の1人でございます。
長かったですわね。
ですが最後までお付き合いいただけると嬉しいですわ。