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3話
颯介と祐斗はファミレスで、簡単な食事を済ませるとホテルに戻る途中、後ろから大きなエンジン音を響かせて近付いてきたバイクが二人の横で停まった。
「どこ行ってたの?」
「俺たちは飯だよ、むっちゃんは?」
ヘルメットを外したむつは、バイクを降りて押しながら二人と並んで歩いた。
「ちょっと買い物」
「寝てたんじゃないんですか?」
「1時間くらい寝たと思うけど」
祐斗は携帯を取り出して時間を確認した。意外とファミレスでゆっくりと過ごしていたようだった。
「良い時間くらいじゃない?戻って準備して行こっか」
むつは、紙袋を祐斗に渡した。
「何すか?」
紙袋を開けてみると、さらに白いビニールに包まれた物が二つ入っていた。紙袋の持ち手を腕に通して、祐斗はビニールの開けた。
「水着?」
祐斗の手元を覗きこんでいた颯介が、驚いたようにむつを見た。
「そ、海で仕事するし」
「遊ぶ気じゃないですか‼」
「そーんな事ない、落ちた時に服を脱いでも大丈夫な用にだよ。あたしのも見る?」