3話
「タイミング悪く来ちゃって、悪かったね。慌てて着替えなくていいから」
颯介はそう笑いつつ、窓際にある一人がけのソファーに座り長い足をゆったりと組んだ。
祐斗は鞄からTシャツを引っ張り出すと、手櫛で髪の毛を整えとりあえずベッドに座った。
「どうしたんですか?」
「むっちゃんからメールがあって16時に海で調査しようってさ。むっちゃんは少し寝るみたい」
するっと出てきた管狐は、祐斗の隣で丸くなりうとうとしているようだ。
「疲れてるんですかね?」
「かもね、夏が苦手なのもあるし。俺たちはどうする?あと3時間くらいだけど」
「飯食って、夜に備えてゆっくり過ごしますか?」
きゅうぅっと鳴った腹を祐斗は、擦りながら照れ笑いを浮かべた。
「夏バテ知らずだね。こんな時間だからファミレスくらいかな?」
祐斗はぱっと笑みを浮かべるとTシャツを着て、携帯と財布を手に取った。颯介は立ち上がると、眠たそうにしつつも顔を上げた管狐の頭を撫でて、そのままにして部屋を出ようとした。
「おいてくんですか?」
「眠そうだし、何かあれば自分で来るだろうから大丈夫だよ」
再び目を閉じた管狐をベッドに残して、颯介と祐斗は静かに部屋を出た。




