2話
冬四郎の運転する車に篠田が、颯介の運転する車に祐斗が乗り、その後をバイクに乗ったむつが続いていた。
篠田が手配してくれたホテルは警察署から程近く、新しくはないが清潔で綺麗だった。
ホテルの駐車場に車とバイクを停めると、宿初手続きをしてルームキーを受け取った。
「こんな良い所、泊まれるんですね‼しかも個室ですよ、贅沢な」
祐斗は浮かれていたが、むつも颯介もホテルくらいは慣れっこなのか、そんな祐斗を見て、笑っていた。
「ま、個室は有り難いよね」
ショルダーバッグを担ごうとすると、隣から手が伸びバッグを持ち上げた。篠田だった。
「部屋までお持ちしますよ、階はどうせ同じですしね」
そう言い、むつのバッグを持ち自分のキャリーケースを引っ張ってエレベーターに乗り込んでいく。
「ありがとうございます…けど重たくないですか?」
「大丈夫ですよ」
むつは細長く布に包まれた棒を持っているだけで身軽だった。それは、有り難く落であったが、申し訳ないような気分であった。
「むつさん、何号室ですか?」
「604だよ。祐斗は?」
「隣ですね、605なんで」
エレベーターホールに向かい、むつは開ボタンを押した。大きなエレベーターだったので全員乗り込めそうだ。少しつめれば、だが。




