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2話
むつが首を傾げつつも管狐の頭を撫でていると、小さな耳をぴくんっと動かし、颯介の服の中に戻って行った。
管狐が姿を消すと同時くらいにドアが開いて、西原と共に祐斗と篠田が戻ってきた。祐斗は、パタパタとむつの側まで来た。
「1体も居ませんね、おかしなくらいに静かすぎます」
耳打ちするように小声で報告した。むつは管狐を撫でていたからか、祐斗の頭も撫でた。
「ありがと、さて…何がどうなってるやら」
「これで何が分かるんですか?」
むつの手を恥ずかしそうに払いのけた。
「いや、さっぱりなーんにもかな。それよか…割り振り決めてシャワー浴びたい」
「あっ、足を洗いたいんですね」
「うん、それもあるしちょっと休みたい」
むつの疲れた様な顔をみて、祐斗が心配そうにむつの顔をのぞきこんだ。祐斗に心配かけまいとか、むつは顔を上げると笑顔を見せた。
「割り振り決めましょうか」
むつは、冬四郎たちにも聞こえるように言い、颯介と祐斗と共にテーブルの前に集まった。
「くじでも作ってやろうか?」
西原が嫌味っぽく言ったがむつは笑顔のまま、スルーした。