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1話
「被害が出てるなら、何とかしますよ。ですが、そうでないなら、こちらで出来る事はありません」
むつのキッパリとしと態度に篠田は、困ったような顔をしていた。
「はっきりしてないが被害はある」
今まで黙っていた冬四郎が、口を挟んできた。むつは、篠田から冬四郎に視線を移した。
「はっきりしていないなら、はっきり出来るようお調べになれば宜しいのでは?それがお仕事でしょう?」
むつの冷ややかな視線に冬四郎はたじろいだが、引かなかった。
「はっきり出来ないから頼みに来たんだ」
「何故?」
「調べようがないんだよ。被害者は足を引きちぎられていた。人間に出来る可能性あるから、それが人の仕業なのかもしれないけどな。被害があった時にはその、車輪の目撃も重なってる」
むつは、指で顎を撫でながら冬四郎の淡々とした話を聞いていた。
「それだと…怪異より人間のが恐ろしくない?人の足を引きちぎる怪力、こわっ」
くっくっく、とからかうように喉で笑うむつに苛立ちを感じているのか、冬四郎の目が細められた。
「ん?待った、被害者生きてるの?」
「いや、出血死」