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2話
「分かった、割り振りはどうする?」
冬四郎は協力をする気でいるようだった。
「お二方は、どうしますか?協力出来ないと言われたからって、どうこう有りませんけど…」
言葉を切るとむつは、分かりやすくドアの方を見た。協力出来ないのであれば、出ていって欲しい、という事だ。
篠田も西原もそれが分かっていて、席を立つ事はしなかった。
「ご協力感謝します」
むつは深々と頭を下げた。縛られていない髪の毛が、さらさらとこぼれ床につきそうだった。
「それで、宮前君の言う通り割り振りはどうしますか?」
篠田にそう言われ、むつはマジックを顎に押し当てて悩んでいた。
「割り振りもですが、先ずは西原先輩。目撃現場の詳細を地図に、場所を絞ってください…あっ‼あと時間も」
席を立ち出ていこうとドアに手をかけていた西原は、振り向くと頷いた。
「宮前君、むつさんがやり手ってのはこういう事なんだね」
「かもしれませんね…仕事中の姿は初めて見ましたが人をこき使うタイプですね」
西原が出ていったドアを見ながら、篠田と冬四郎はひそひそと話し苦笑いを浮かべていた。




