2話
目撃現場となっている道は4通りだった。
「今の所はこの4本の道だから、ここを張る」
「けど、その道のどこに出てくるか分からないんじゃないか?」
むつは、マジックの蓋をしめると、びしっと冬四郎を指した。
「そう、けど…通報場所が分かれば出た範囲も絞れるでしょ?今夜はそこを重点的に張る、出なかったとしても目撃情報が上がればすぐに動ける」
篠田は頷くと、西原を見やった。
「なら、警官の人数を増やして」
「いえ、それはダメです。情報が多くなると混乱も生まれます。人数が少なければ最小限のやり取りだけで済むので、無駄な情報も憶測も含まれる事はなくなります。なので、ここに居る人間だけで行います」
西原が最後まで言う前に、むつが否定した。西原も篠田も不満があるようだった。冬四郎と颯介、祐斗は何も言わない。
「他にも理由がありますか?」
「怪異を目の当たりにして、一人が取り乱せばそれは広がっていきます。少人数なら、それはないかと…危険性は増す可能性はありますけど」
おどけたように肩をすくめたむつは、ふぅっと溜め息を吐いた。
「なので、協力して欲しいとは言いません」
    
 




