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2話
「篠田さん、あとはこちらでやりますので」
にこやかながらもぴしりと言われ、篠田は明らかに残念そうな顔をした。
「そうですか?でしたら、ホテルをお教えしますよ。こちらで手配してありますので、チェックインはいつでも出来ます」
「本当ですか?ありがとうございます‼」
嬉しそうなむつの顔をみて篠田も表情を和らげた。
「篠田さんと宮前さんは、この件が片付くまでは、そちらにいらっしゃるのですか?」
「えぇ、私も宮前もそう言われ、来ておりますので。ホテルも同じですよ」
「そうですか、でしたら何かあればいつでも手をお貸し頂けると思っていて良いですか?」
「勿論です‼宜しければ、今夜お食事にでも」
「怪異は夜、起きてます。仕事で来てますので、調査に出ないといけませんので」
ぺこり、と頭をむつが下げたが篠田は機嫌を損ねた様子はなかった。頼りにされていると、遠回しに言われ喜んでいるのかもしれない。
「夜、調査に出るのか?」
「まぁ…」
むつは、はっとした表情をした。そして、指先で下唇をなぞった。
「とりあえず、どこかでお昼ご飯にしませんか?早速、お手をお借りするかもしれません」




