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2話
隣でハンドルを握っていた颯介も意外そうな顔をしていた。祐斗は耳まで真っ赤にして、黙って前を向いた。
「それこそ、安心したよ…っと、到着なのかな?」
前を走っていた車が停まると、颯介もゆっくり速度を落として車を停めた。
先程までの学生みたいなノリの会話は、すっかり忘れたかのように颯介とむつは表情を引き締めると車を降りた。祐斗だけが、まだ顔を赤くしていた。
「この辺ですか?」
西原が歩み寄ってきたので、颯介は辺りを見回しながら聞いた。
「そうです、この国道での目撃が多いですね…後は向こうの方の」
西原は指を指している。どうやら、国道を中心としての目撃情報が多いようだ。冬四郎の言っていた通り、国道の側には松の木が連なり、その向こう側は海になっているようだ。




