62/309
2話
西原たちは、別の所に車を停めているからと、入り口の前で落ち合う事にし、むつたちはミニに乗り込んだ。
「むつさん、前乗ります?」
「いや、いいよ」
いつもなら、助手席に乗るのだが今回は荷物をどかしてむつは狭い後部座席に乗り込んだ。そして、大きなショルダーバッグから札と人形を何枚か取り出して、ジャケットのポケットに押し込んでいた。
西原の運転する車が見えると、颯介はその後に続いて車を走らせた。
「むつさん、むつさん、西原さんと付き合ってたんですか?」
興味津々の祐斗は、身体ごと後ろを向いている。颯介も前を向いているが、耳は会話に向いている。
「学生の時ね。3つ上だったし、1年くらいね。まさかホントに警官になってるとは…」
昔を思い出しているのか、柔らかく微笑んでいた。そんな表情を見ていると、祐斗は何だか恥ずかしくなってきていた。