2話
篠田の腕から逃れたむつは、颯介の隣に逃げた。篠田は残念そうにしつつも、先に立って歩き出した。
むつと颯介が並んで歩いているので、祐斗は自然と冬四郎の並ぶ形になった。祐斗からしてみると、むつが颯介の隣に逃げたのが意外でもあり、昨日のむつの様子も思い出し、まじまじと冬四郎を見ていた。
「どうかした?」
そんな祐斗の視線に気付いたのか、冬四郎は苦笑いを浮かべている。
「いえ、その…喧嘩中なんですね」
こっそり小声で言うと、冬四郎は曖昧に頷いた。仲の良さげな二人が喧嘩をしている理由が、分からなかったが好奇心で聞くのは止めておいた。
階段を上がって、篠田に案内されるままに奥の部屋に入った。そこは、広くはないが会議をするようの部屋なのか、ホワイトボードに長机が2列並べられていてパイプ椅子が並べてあった。
「適当にかけてください」
篠田にそう言われ、三人はホワイトボードの前の長机のところに座った。3席ずつあったが、颯介とむつ、祐斗に別れていた。
冬四郎はホワイトボードに歩み寄るとくるっと反転させ、裏側を見えるようにした。そこには、拡大された地図があり、赤いマーカーなどで印がされていた。
 




