2話
「その方が早いかな?」
『あたしに説明出来ると思うと?…篠田さんとか居れば説明お願い出来るけど』
颯介は、祐斗の方を見た。会話は聞こえているようで祐斗はぶんぶんと頭を振っていた。
「お迎えで」
『はーい、ちょっと…そうね、そこのコンビニの駐車場に居て』
それだけ言うとむつは電話を切った。颯介は、言われた通りにコンビニの駐車場に車を停めた。用事もなく停めるのは気が引けるのか、祐斗と連れだって店内に入っていく。
「すっごい涼しい」
車内とは比べ物にならないくらい冷房が効いていた。颯介と祐斗はコーヒーを買うと車内に戻って、むつを待った。
ちびちびコーヒーを飲みながら、20分くらい待っただろうか。むつが大きなエンジンを響かせつつコンビニの駐車場に入ってきた。海が近く、サーファーや海水浴に向かうような、若い者たちよりも目立っていた。周囲の人達の視線はむつに向いている。
むつは気付いてないのか、バイクを停め降りると車に近付いてきた。颯介と祐斗も車を出て、むつと合流した。
「お待たせ」
何か楽しい事でもあったのか、むつは笑顔だった。
「ごめんな、戻らせちゃって」
「全然だよ、行こうか?」