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2話
外に出れなく退屈してるのか、管狐は後ろで鞄の匂いを嗅いでみたりしていたが、祐斗の太股の上に落ち着くと目を閉じた。
「もうすぐ着くよ」
颯介がそう言った。壁ばかりの視界にが開けると、キラッとするものが視界に入った。海が見えてきたのだ。
梅雨が明けたら、なんて話を少し前にしたのを祐斗は思い出した。遊びではないが海には行けそうだ。そう思うと、今回の仕事は楽しくなりそうだと思った。
高速を降りると道が分からないのか、路肩に車を寄せると颯介は地図を広げた。
「えーっと…この辺来た事ないからな」
「むつさんはもう着いてるんですかね?」
二人で地図を覗き込んでいたが、顔を見合わせると颯介はむつに電話をかけはじめた。コール音が何回かして、すぐに出た。
『はーい?』
電話越しにバイクのエンジン音が響いている。むつもまだ着いてないのかもしれない。
「道が分からなくって、むっちゃん今どこ?」
『もぅ目の前…そうさん達は?』
「高速降りた、コンビニは前なんだけど」
『迎えに行こうか?』




