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2話
颯介がやたらと発音よく言った。
「そうそう、ダイナースーパーグレドカスタムの13年モデル」
「まじか…意外すぎ」
「そ?カワサキとかヤマハのも好きだけど、やっぱこっちよね。祐斗、ケツに乗る?」
「いや、湯野さんとで良いです」
むつは少し残念そうな顔をしたが、あまり気にしてないのかバイクに近付いていく。ヘルメットの中に入れていた薄手のジャケットを羽織りボタンをとめると、髪の毛を下ろして縛り直している。
「むつさんはバイク好き、湯野さんは車好き…」
祐斗は、何とも言えない心地でむつのバイクと颯介の車を交互に見ていた。
「湯野さんは、ミニ好きなんですか?」
「いや、ポルシェ欲しいけど…仕事で使うにはちょっとね…二台持ちするのは勿体無いし。さ、行くよ」
祐斗に分かった事は、二人とも国産車より外車を好むという事だけだった。
「あ、むっちゃーんお昼どうする?」




