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2話
鍵をかけて、エレベータで下に降りると三人は会社で借りている駐車場に向かっていく。
「颯さん、あたし今日バイク」
「はっ!?」
驚いたのは颯介ではなく祐斗だった。
「免許持ってたんですか?」
「あるよ?車もバイク」
むつは、ポケットからキーケースを取り出して中に入れてあった免許証を祐斗に見せた。
「わーホントだ」
「けど、何でわざわざバイクで?」
「動く車輪でしょ?走って追い付けると思えないし、車じゃ小回りきかないでしょ?」
颯介と祐斗は頷いた。
「バッグは?車に乗せる?」
「そうしても良い?これ邪魔だし」
むつは笑いながら、日本刀を持ち上げて見せた。駐車場に着き、むつは遠慮なく颯介の車の後部座席にバッグと日本刀を置いた。
「で、むつさんのバイクは?」
「あれ」
むつが指差す方を颯介と祐斗は見て。黙った。ごつごつとした大型のバイクが停められている。
「あれってさ…ハーレーの」
「FXDC DYNA SUPER GLIDE CUSTOM」