7話
その事をかなり悪いと思ったのか、篠田は山上に頼みむつたち三人は、こうして思わぬ夏休みを貰えたのだ。
冬四郎と西原も怪我をした事もあり、それも篠田の力添えがあって、こうして一緒に過ごしているのだった。
「そうだな…水着はもう着ないのか?ここなら人も居ないからゆっくり泳げるだろ」
「水着反対したくせに」
むつは早くも溶けてきているかき氷をざくざくとかき混ぜて、少し食べると残りを管狐と釣瓶でに差し出した。
「そりゃまぁ…けど、今は仕事じゃないし。良いんじゃないか?谷代君がさっきから手振ってるぞ」
クーラーボックスからビールを出したむつは、ぷしゅっとプルタブを開けると一口飲んだ。
「しばらく一人で遊ぶでしょ。…ところで、西原先輩と篠田さんは?」
「篠田さんはバーベキューの準備で買い出し。西原君は湯野さんと釣りしてるだろ?」
冬四郎が指差す方には、ぼろっぼろのボートの上で釣糸を垂らしている二人が見えた。
「釣れたら、バーベキューが豪華になるね」
「釣れてそうな様子ないな」
「魚も食べたいのに」
むつは楽しそうに笑い、眩しそうに海を見つめている。けど、その横顔は何だか寂しそうでもあった。
「むつ。俺たちに倒れてる人の介抱を任せてる間、どこに行ってたんだ?」
「んー?」




