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6話
次に目を覚ました時には、薄ぼんやりと白っぽい物が視界いっぱいに広がっていた。そして、微かに波の音がした。
「わっ…ぷっ」
波打ち際に居たのか、波で身体が押し上げられ顔にも冷たい海水がかかる。鼻に入った海水が痛くて、むつのぼんやりした思考がクリアになっていく。
ざざっと波が引いてくうちに、急いで身体を起こして辺りを見回した。すぐ横には祐斗も颯介も居た。管狐と釣瓶火は波にあおられ、ころころと転がっている。
管狐と釣瓶火を拾い上げようとして、手に巻き付けてある首飾りに気付いた。それは、透き通るような青い宝石。アクアマリンだった。
「海だもんね」
手から外した首飾りをポケットにしまい、管狐と釣瓶火を颯介の胸の上に乗せると、颯介の両脇に手を入れて波のこない浜辺までずるずる引っ張った。祐斗も引っ張ってきて、颯介と並べて寝かせる。