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6話
「ってより…この船デカくなってませんか?あれ、俺たちが使ったボートじゃないですか?」
祐斗が指差すボートをむつも見付けた。手漕ぎボートは客船と比べたら小さな物だが、今見えているボートは小さすぎる。
「この船は霊と魂の集合体なんだ。あたしが飛ばした式を捕まえて、それを通して力を吸い上げられてる…そのせいかも」
「式から意識切れないんですか?」
「切れてるはずなんだけど…だってどこにあるか分からないし。本体を壊すしかないかな?」
むつは祐斗にも聞こえるかどうか分からない程、小さな声で呟いていた。
「この辺の船は本物かな?だとしたらガソリンとか重油があるはずよね…重油は引火させにくいけど、ガソリンが燃えたら…祐斗」
「はい。とっても危ない方法を思い付いてますよね?」
「燃料タンクに穴を開けよう」
「待ってください、むつさん。どう考えてもみんな死にますよ。ガソリンに火つけたら一瞬ですよ」




