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6話
『あなたは知り合いを殺すのに躊躇いがないのですか?』
「知り合いなら、躊躇うけど。あんたとは知り合いじゃないね」
むつはもう1度ぶんっと刀を振るった。今度のはかする事もなかった。だが、少しだけ篠田との距離が出来た。
その隙にむつは颯介の所に行った。
「颯介さん、大丈夫?」
「俺はね…祐斗君は?」
むつが祐斗の方に駆け寄ろうとした時、篠田が先程まで自分が座っていた椅子をむつに向かって投げた。
「むっちゃん‼」
咄嗟に颯介がその椅子を腕で払いのけた。床に落ちると少しだけ、床が凹んだを装飾品がついているし、金属で出来ていそうな脚の部分はかなり重たそうだった。
『頑丈な身体のようですね』
「仕事がらですよ。篠田さんも…腕はないのに力持ちのようですね」
流石に痛むのか、颯介は腕を擦っている。そして、肩の力を抜いて篠田と向き合った。