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6話
「あんた…あたしの式を通してあたしの力を吸い上げてるでしょ?」
『ようやくお気付きですか?』
「うん、あとあんた船なんだね。初めてだよ。船が付喪神になるなんてさ」
篠田は肩を揺らして笑っている。
「船だから、人を集めやすいんだね。成仏出来なかった人たちもここを拠り所に集まって来たんだろ?」
『正解です。けど、もうどうしもうもないんじゃありませんか?』
「どうもこうも、燃やしちゃえば良いよ。火は何もかも燃やし尽くして浄化してくれる」
篠田が笑みをしまった。急に走り出したかと思うと、祐斗の顔を思いっきり殴った。
「ぐっ…つ‼」
壁に身体をぶつけ、祐斗は呻きながらずるずると座り込んだ。
「祐斗君‼」
篠田は、祐斗を殴り付けた勢いをそのままに、片足に重心をかけたまま回し蹴りを颯介にくらわせた。




