6話
篠田は優雅に足を組み換えた。
『一緒に沈んでしまった霊を取り込み、他の霊を取り込み…ようやくこの船をこうして元の姿に戻したのですよ』
「この船は飲み込まれてるんじゃないの?」
『あぁ、それはね。あなたが封じてしまった供養塔から少しずつこちらに呼んだ霊と、海で遊ぶ人間を取り込んで作った…そう、家みたいな物ですよ』
篠田がゆっくり立ち上がった。それと同時に部屋の蝋燭立てに、火がついた。
『もう少しで家も船も完全になりそうだったのに、邪魔してくれましたね。それにドアを外したりしてくれて、また治さなくてはならない。…けど、あなた方は力が強いですしね』
「あんたの栄養になれと?」
『そうしてくださったら、とっても有り難いですね』
「けど、ただの付喪神が霊を魂を取り込む事なんて出来るの?」
篠田がゆっくり歩いてきた。颯介も祐斗も下がらずに、篠田を見据えている。
『ただの?わたしはずっと人と居たのですよ。人の色々な気持ちは何年もかけて、わたしに染み込んだ…それが力となり、そして新たに力を貸してくれた方も居ましたからね。あなたの式神もなかなかの力でしたね、あなたも』