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6話
「どうしたんですか?」
むつは床に落ちた紙を拾い上げた。濡れているわけでもない。
「力の使いすぎかな?そんなはずないと思うんだけど」
本人にもどういう事なのか、分かっていないようだった。首を傾げつつも、役に立たない人形をポケットにしまった。
「何か眠いし」
むつは目をしょぼつかせ、手の甲でごしごしこすっている。
「疲れてるんだろうな」
颯介はむつの顔をのぞきこんだ。管狐も心配なのか、むつの肩に乗って頬を嘗めている。
「早く篠田さん捕まえないと」
「そうですね…けど、どっち行きます?」
目をしょぼしょぼされながら、むつは廊下に膝をついた。颯介と祐斗は、立っていられない程なのかと慌てたが、そうではなかった。




