6話
「むつさんと湯野さんってホントすげぇよな、ねぇ」
祐斗は刀を抱えたまま、側にやってきた釣瓶火と管狐に話かけている。釣瓶火も管狐も巻き込まれたくないのか、祐斗の肩にのぼって、むつと颯介を見ていた。
「もぅちょいっ‼」
あんなに沢山居たはずの霊たちも、むつと颯介に殴られ蹴られ床に転がっている。だが、痛みも感じる事がないのか、ゆっくり起き上がってきては、また近付いていく。
「きりがないよ」
「階段までいけたら、良い…けど疲れてきた」
むつは手をぷらぷらとさせた。颯介も流石に疲れているのか、はぁっと溜め息をついている。
「燃やしちゃいたい」
「それしたら、祐斗君が悲しむよ」
「…うん、こいつら意思ないみたいだから火をつけても平気で寄ってきそう」
1番近くに居た男をむつは、殴り付けた。もはやただの八つ当たりのようにしか見えなかった。
「むっちゃん、先に行く?」
「いや、離れるのは良くない気がする…何が起きてるか分かんないから、フォローが必要だっよっ‼」
後ろから近づいてきた女の顔面に、むつの拳がめり込んだ。横から近付いてきていた男に、颯介は肘打ちを食らわせて、祐斗を引っ張り階段まで走る。